ボヘミアの海岸線

海外文学を読んで感想を書く

2010-01-01から1年間の記事一覧

『島暮らしの記録』トーベ・ヤンソン

[静寂の日々] Tove Marika Jansson Anteckningar fran en o ,1993.島暮らしの記録作者: トーベ・ヤンソン,冨原眞弓出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 1999/07/01メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 79回この商品を含むブログ (28件) を見る まあ、人間に…

『問いの書』エドモン・ジャベス

[砂漠の言葉] Edmond Jabes Le Livre des Questions、1963.問いの書 (叢書 言語の政治)作者: エドモンジャベス,鈴木創士,Edmond Jabes出版社/メーカー: 書肆風の薔薇発売日: 1988/10メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 23回この商品を含むブログ (3件) を…

『コリオレーナス』ウィリアム・シェイクスピア

[目的なき英雄] William Sharekspeare The Tragedy of Coriolanus,1623.コリオレーナス (白水Uブックス (31))作者: ウィリアム・シェイクスピア,小田島雄志出版社/メーカー: 白水社発売日: 1983/10/01メディア: 新書 クリック: 3回この商品を含むブログ (3…

『レクイエム』 アントニオ・タブッキ|これもまた追憶

[これもまた追憶] Antonio Tabucchi,Recuiem,1992.レクイエム (白水Uブックス―海外小説の誘惑)作者:アントニオ タブッキ発売日: 1999/07/01メディア: 新書 今日は7月最後の日曜日ですね、足の悪い宝くじ売りが言った。町はからっぽ、木陰にいても40度はある…

『グアテマラ伝説集』アストゥリアス

[鉱物、あるいは古酒] Miguel Angel Asturias Leyendas De Guatemala,1930.グアテマラ伝説集 (岩波文庫)作者: M.A.アストゥリアス,牛島信明出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2009/12/16メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 24回この商品を含むブログ (17件…

『シンベリン』ウィリアム・シェイクスピア

[シェイクスピア的どたばた] William Sharekupeare Cymbeline,1610s?シンベリン (白水Uブックス (34))作者: ウィリアム・シェイクスピア,小田島雄志出版社/メーカー: 白水社発売日: 1983/10/01メディア: 新書購入: 1人 クリック: 4回この商品を含むブログ …

『一つ半の生命』ソニー・ラブ・タンシ

[地獄だ! 地獄だ!] Aony Labou Tnasi La Vie et Damie,1979.一つ半の生命作者: ソニーラブ・タンシ,Sony Labou Tansi,樋口裕一出版社/メーカー: 新評論発売日: 1992/04メディア: 単行本 クリック: 24回この商品を含むブログ (1件) を見る ……<地獄>の文…

『アレクサンドリア四重奏』ロレンス・ダレル

[愛、この一言が] Laurece Darrell The Alexandria Qualtet,1957-1962.アレクサンドリア四重奏 1 ジュスティーヌ作者: ロレンス・ダレル,高松雄一出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2007/03/17メディア: 単行本購入: 5人 クリック: 81回この商品を含む…

『石の原野』トーベ・ヤンソン

[荒野に言葉を打ち捨てて] Tove Jansson Stenakern,1984.トーベ・ヤンソン・コレクション 4 石の原野作者: トーベヤンソン,Tove Jansson,冨原眞弓出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 1996/11/05メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 17回この商品を含むブログ…

『白鯨』ハーマン・メルヴィル|世界は鯨でできている

あのゆるぎない塔、あれはエイハブだ。あの火山、あれもエイハブだ。あの雄々しい、不とう不屈の、かちどきの声をあげる雄鶏、あれもエイハブだ。何もかもがエイハブだ。 「おお、エイハブ!」スターバックがさけんだ。「いまからでも遅くはありません。ご覧…

海外文学研究所 World Literature Labo

家でぐうたらしながら「海外文学研究所とかがあったらすてきだなあ、どっかにないかなあ」とつぶやいていたら、妹がさくっとロゴを作ってきた。「ないなら自分で作れば」。えーまじか。 海外文学研究所、英語表記は「World Literature Labo」。ラボ、という…

『縛り首の丘』エッサ・デ・ケイロース

[死体、大活躍] José Maria de Eça de Queiroz O Mandarim / O Defunto,1902.縛り首の丘 (白水Uブックス―海外小説の誘惑)作者: エッサデ・ケイロース,E〓@7AB7@ca de Queiroz,弥永史郎出版社/メーカー: 白水社発売日: 2000/08/01メディア: 新書 クリック: 12…

『魔術師のたいこ』レーナ・ラウラヤイネン

[世界に歌あふれ] Leena Laulajainen Taikarumpu Kertoo,1980.魔術師のたいこ作者: レーナラウラヤイネン,Leena Laulajainen,荒牧和子出版社/メーカー: 春風社発売日: 2006/06/01メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 33回この商品を含むブログ (6件) を見る…

『終わりと始まり』ヴィスワヴァ・シンボルスカ

[語られなかった戦争] Wislawa Szymborska Koniec i Poczatek,1993.終わりと始まり作者:ヴィスワヴァ・シンボルスカ出版社/メーカー: 未知谷発売日: 1997/06/01メディア: 単行本 終わりと始まり 戦争が終わるたびに 誰かが後片付けをしなければならない。 …

『わが町』ソーントン・ワイルダー

[平凡な日々] Thornton Wilder Owr Town,1938.ソーントン・ワイルダー〈1〉わが町 (ハヤカワ演劇文庫)作者: ソーントンワイルダー,Thornton Wilder,鳴海四郎出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2007/05/24メディア: 文庫購入: 7人 クリック: 44回この商品を含…

『ニーベルンゲンの歌』

[意味もなく皆殺し] Das Nibelungenlied,13c.ニーベルンゲンの歌〈前編〉 (岩波文庫)作者:出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1975/01/01メディア: 文庫ニーベルンゲンの歌〈後編〉 (岩波文庫)作者:出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1975/02/17メディア: 文…

『消去』トーマス・ベルンハルト|消してしまいたい、こんな思いは

私の頭に最終的に残っている唯一のものは、と私はガンベッティに言った、「消去」というタイトルだ。というのも私の報告は、そこに描写されたものを消去するために書かれるからだ。私がヴォルフスエックという名で理解しているすべて、ヴォルフスエックであ…

『不穏の書、断章』フェルナンド・ペソア

[自己という迷宮] Fernando Antonio Nogueira de Seabra Pessoa Bivro do desassossego.不穏の書、断章作者:フェルナンド ペソア出版社/メーカー: 思潮社発売日: 2000/10メディア: 単行本新編 不穏の書、断章 (平凡社ライブラリー)作者:フェルナンド・ペソ…

2nd Anniversary

2nd anniversary -The Perfect Day for KIRIKIRI SAUTE- ちょうど1年前の今日、ブログ1周年をお祝いした。確か、去年も晴れた日曜日だったように思う。 気がついたら、あっとういうまに2年目。更新回数はめっきり減ったけれど、それでも相変わらず海外文学を…

海外文学の祭典「ワールド文学カップ」がすごい

2010年4月1日以降、新宿に通う日々が続いている。 目的地は、紀伊國屋書店新宿本店のブックフェア「ワールド文学カップ」。「世界53カ国、650種類の文学」を全ポップ付きで紹介するという、海外文学読みにとっては垂涎もののお祭りだ。 「ワールド文学カップ…

『肉桂色の店』『砂時計サナトリウム』ブルーノ・シュルツ

グロテスクなのに美しい Bruno Schulz Skeipy Cynamonowe,1934. Sanatorium pod klepsydra,1937.シュルツ全小説 (平凡社ライブラリー)作者: ブルーノシュルツ,Bruno Schulz,工藤幸雄出版社/メーカー: 平凡社発売日: 2005/11/10メディア: 文庫購入: 3人 クリ…

『間違いの喜劇』ウィリアム・シェイクスピア

[間違いだらけ] William Sharekspeare The Commedy of Errors,1594?間違いの喜劇 (白水Uブックス (5))作者: ウィリアム・シェイクスピア,小田島雄志出版社/メーカー: 白水社発売日: 1983/10/01メディア: 新書 クリック: 12回この商品を含むブログ (12件) …

漫画読みにオススメしたい海外文学

以前、Twitterで「漫画読みにオススメしたい海外文学」についてつぶやいた。いろいろな人からコメントやおすすめをもらったので、今回ここでまるっとまとめてみる。 「海外文学読みにおすすめできる漫画」でもよかったのだけれど、逆にした。理由は、「圧倒…

『悲楽観屋サイードの失踪にまつわる奇妙な出来事』エミール・ハビービー

[よかったよ、違う風にならなくて!] Emile Habiby Al-Waka'i al gharieba fi ikhtifa Sa'ied Aboe an-Nash al-Moetasaja'il、1974.悲楽観屋サイードの失踪にまつわる奇妙な出来事作者: エミールハビービー,Emile Habiby,山本薫出版社/メーカー: 作品社発売…

『ヴォイツェク・ダントンの死・レンツ』ゲオルグ・ビューヒナー

彼には、天に向かって握りしめた巨大な拳を突き出して神を引きずりだし、雲の中を引きずり回してやれそうな気がしてきた。世界を歯で噛み砕いて、創造主の顔に吐きつけてやれそうな気がした。 −−ゲオルグ・ビューヒナー『ヴォイツェク・ダントンの死・レンツ…

「その国どこにあるんだっけ?」と一瞬思う海外文学

その昔、外国で出会ったオーストラリア人に「日本ってどこ? 中国と陸続き?」と聞かれたことがあった。「極東の島国」と答えると、相手はあっけらかんと「へえ、そうなの。アジアの遠くにある、というイメージしかなかったわ。教えてくれてありがとう」と言…

『密会』ウィリアム・トレヴァー

[愛は沈黙の裏に] William Trevor A Bit on the Side,2004.密会 (新潮クレスト・ブックス)作者: ウィリアムトレヴァー,William Trevor,中野恵津子出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2008/03/01メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 32回この商品を含むブログ (…

『井伏鱒二全詩集』井伏鱒二

[サヨナラダケガ]井伏鱒二全詩集 (岩波文庫)作者:井伏 鱒二出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2004/07/16メディア: 文庫 井伏鱒二の『厄除け詩集』は、学生にとって災厄である。井伏の言葉は、ぐるぐるする心を鮮やかに刺してくる。太宰、ドストエフスキーあ…

『島とクジラと女をめぐる断片』アントニオ・タブッキ

[難破船のような物語の断片] Antonio Tabucchi Donna di Porto Pim,1983.島とクジラと女をめぐる断片作者: アントニオ・タブッキ,須賀敦子出版社/メーカー: 青土社発売日: 2009/12/24メディア: 単行本 クリック: 17回この商品を含むブログ (7件) を見る 火…

『かもめ・ワーニャ伯父さん』チェーホフ

[それでも人は生きていく] Антон Павлович Чехов Чайка,1895. Дядя Ваня,1899.かもめ・ワーニャ伯父さん (新潮文庫)作者: チェーホフ,神西清出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1967/09/27メディア: 文庫 クリック: 22回この商品を含むブログ (39件) を見る…