ボヘミアの海岸線

海外文学を読んで感想を書く

雑文

『本の雑誌』で「新刊めったくたガイド」を連載します

12月10日発売の『本の雑誌』2021年1月号から、書評コーナー「新刊めったくたガイド」で連載を始めます。いえーい。 「新刊めったくたガイド」は国内文学、海外文学、ミステリ、SF、ノンフィクションといったジャンルごとの担当者が、直近1~2か月に販売され…

挫折した海外文学選手権

これまでたくさんの小説に挫折してきた。いったいどれほどの本を手に取り、本棚に戻したことだろう。 これは、私と、私と本棚を共有してきた妹による、とりわけ思い出深い「挫折した海外文学」の記録である。 この記事は、主催している「海外文学・ガイブン …

2019年は休む年だった

2019年は、休む年だった。 ここ数年ほどなにかに取り憑かれていたらしく、人生にいろいろ詰めこみすぎて、動き続けていた。刺激的で楽しかったけれど、やはり無理がきていたのだろう。2018年12月にふつりとなにもしたくなくなった。メールを見るのに1か月か…

ブログの名前を変えた

ブログの名前を「キリキリソテーにうってつけの日」から「ボヘミアの海岸線」に変えた。 キリキリソテーという名前に愛着はあるが、この名前でブログを書いて11年になるし、長いし(Twitterでつぶやくと長いなといつも思う)、そろそろ変えてみてもよいかな…

なぜ世界文学は売れないのか? もうすぐ絶滅するという海外文学について

世界文学が読まれない、売れない、翻訳できない 『絶望名人カフカの人生論』の著者、頭木弘樹さん(@kafka_kashiragi)が「海外文学の翻訳が売れないから、翻訳できなくなってきている」というつぶやきが3000RTを超えた。 https://twitter.com/kafka_kashira…

ノーベル文学賞とバルガス=リョサ、そして大事なものを噛み切られた男の話

ペルーの作家 マリオ・バルガス=リョサが、2010年ノーベル文学賞を受賞した。昨年のへルター・ミュラーがまさかの大穴だったので、今年はずいぶん順当に来たなあという感じ。 毎年、ノーベル文学賞授賞式の何が楽しいって、副賞としての「再版祭り」だったり…

海外文学研究所 World Literature Labo

家でぐうたらしながら「海外文学研究所とかがあったらすてきだなあ、どっかにないかなあ」とつぶやいていたら、妹がさくっとロゴを作ってきた。「ないなら自分で作れば」。えーまじか。 海外文学研究所、英語表記は「World Literature Labo」。ラボ、という…

2nd Anniversary

2nd anniversary -The Perfect Day for KIRIKIRI SAUTE- ちょうど1年前の今日、ブログ1周年をお祝いした。確か、去年も晴れた日曜日だったように思う。 気がついたら、あっとういうまに2年目。更新回数はめっきり減ったけれど、それでも相変わらず海外文学を…

とある夜更けのご挨拶

午後三時を過ぎた頃、珈琲屋にて2009年最後のドリップを飲む。連れから、お土産にとドーナツとチョコレートをもらう。 川沿いを歩いていると、今年の晦日は月が丸いよ、という声がする。心の中だけで、それは結構なことですと返事を返す。 今年の夏に漬けた…

アルバニア、血の報復、イスマイル・カダレの世界

ドキュメンタリー写真を発信するプロジェクト、「G-PHOTO」が更新を終了した。いつも楽しみにしていただけに惜しい。今まで素敵な写真をありがとう。 「G-PHOTO」は、「アルバニアのカヌン」についての調べものがきっかけで知った。イスマイル・カダレ『砕か…

すすきの原野、あるいは地平線

モンゴルへ草原を見に行きたい、中央アジアの砂漠を歩きたいと思った時、自分は地平線が好きなのだと気がついた。 おそらく、ぐるりめぐる世界という「面」と、自分という「点」の関係を一番シンプルに感じることができるからだと思う。あるいは、月面に似て…

バイオリンは歌う、しかしフィドルは踊る

ケルトが好きである。ウィスキーを飲み始めてから、アイルランドの土地が好きになった。かの土地の人々は、城と草と岩しかない厳しい土地で、ピートをたいてうまい酒を作った。 酒はその国の音楽を聴きながら飲みたくなる。それでケルト。じつにシンプルな話…

旅はめぐり屋

Vietnam HUE, 2008. なんだかいまいち天気がぱっとしないので、夏らしい写真を載せてみる。ベトナム・フエにて。日本は水の国だと思っていたけれど、ベトナムの水っぷりには瞠目した。雨上がりのころには、いっせいに人々が自転車をこいで、悠々と川を渡って…

Bless you.

くしゃみをしたら、シンクの中の皿ががたり、とくずれた。なんだか居心地がわるくてはなうたを歌ったら、皿の山が大きくくずれて大皿がこっぱみじんになった。関係はない。 関係は、ない、はずなんだけどなあ。

1st anniversary

1st anniversary -The Perfect Day for KIRIKIRI SAUTE- ブログ開設から1年が経った。2週間たってようやく気がついた。せっかく気がついたからには、最初ぐらいお祝いしておこうかなと。 いわゆる社会人というものになってしまって、日々わたわたしているも…

南米の本屋

Bookstore in South America となりの町でも、地球の反対側でも、どこにいっても、あまりやることは変わらない。おいしいものを食べて、おいしいお酒を飲んで、本屋にふらりと足を運ぶ。 南米の本屋は美しかった。 南米はスペインに占領されて以来、コロニア…

珈琲屋の英文学科たち

珈琲屋で、となりの会話が気になるのは、いったいなんの魔法だろうと思う。 広告、お知らせ、雑踏のざわめき、耳に飛び込むあらゆる音を、ほとんど気にしないで過ごせるのに、珈琲屋でのおとなりさんの会話だけはだめだ。シンボルスカを読んでいたのだが、大…

シーシュポスの挨拶

昨日まで、たくさん本を読みました。今日からも相変わらず本を読んでいこうと思います。 2009年です。あけましておめでとうございます。 お風呂の中でよく考えたら、シェイクスピアの感想をひとつも書いていないことに気がつきました。道理でイギリス文学が…

ただの一日、あるいは

今の時期、暮れ時には南西に金星が見える。明けの明星とも宵の明星とも呼ばれるこの星は、たぶん千年前にもあの位置にあった。 星のめぐりにとって、2008年と2009年の継ぎ目は、何のかわりもない一日でしかない。流れめぐり続ける世界の上に、人間がグレゴリ…

2008アワード

2008年をさらりとふりかえる。今年は本当に本と活字にまみれたなあ。たぶんおやつ食べた回数と同じくらいじゃないだろうか。 というわけで、勝手にアワード。とりあえずはオーソドックスに、海外文学から。基本的に今年読んだもので、かつ感想を書いてあるも…

神保町で古本まつり

遅ればせながら、先月末に神保町古本まつりに行ってきた日の記録。いかにもハロウィンらしい、寒くて天気の悪い奇妙な日だったけれど、すごい楽しかったです。 古本まつりは、国際ブックフェアとともに、年に一度の楽しみとなっています。大通りにずらり並ぶ…

スチュアート・ダイベック講演・朗読会

10月25日の曇る土曜日、スチュアート・ダイベック講演・朗読会に行ってきた。 作家や文学者の講演にいくのはひさしぶりだ。日本でダイベックのひそかな講演に、どれほどの人数が集まるのかまったくわからなかった。東大前のパン屋で、エビカツサンドとコーヒ…

おいでませダイベック

スチュアート・ダイベック講演会・朗読会のお知らせ講演者:スチュアート・ダイベック(作家・詩人) 司会・通訳:柴田元幸(アメリカ文学)日時:2008年10月25日(土)/14:00〜15:30 場所:法文2号館1階3番大教室(東大本郷キャンパス)※入場無料・予約不要国…

「海外作家140人ソート」やってみた

「海外作家140人ソート」やってみました。 やるたびに結果が微妙に違うのだけれど、今回はだいたいこんな感じ。 ↓ 1 クンデラ 1 カフカ 3 ブルガーコフ 4 ボルヘス 5 タブッキ 5 カルヴィーノ 5 ブッツァーティ 8 ムージル 9 カミュ 10 バタイユ 11 セリーヌ…