ボヘミアの海岸線 - 海外文学の感想

海外文学/世界文学/ガイブンの書評と感想ブログ。昔の名は「キリキリソテーにうってつけの日」

カナダ文学

『洪水の年』マーガレット・アトウッド|暗黒企業、エコカルト、世界の終末

光がなければ、望みはないが、闇がなければ、ダンスはない。 ――マーガレット・アトウッド『洪水の年』 巨大企業、エコカルト、世界の終末 旧約聖書の物語「ノアの洪水」は、世界滅亡の話だ。世界を150日間の洪水が襲って、箱船に乗ったノア夫婦と動物以外は…

『オリクスとクレイク』マーガレット・アトウッド|人類の絶滅を語る、世界最後の男

“エクスティンクタソン(絶滅マラソン)。モニターはマッドアダム。アダムは生ける動物に名前をつけた。マッドアダムは死んだ動物に名前をつける。プレーしますか?” 人類の絶滅神話を語る、世界最後の男 *1 罪深い人類が絶滅した世界はエデンだろうか? そ…

『侍女の物語』マーガレット・アトウッド

わたしたちは二本の脚を持った子宮にすぎない。聖なる器。歩く聖杯。−−マーガレット・アトウッド『侍女の物語』 抑圧胃痛ディストピア 2017年、Huluがディストピア小説『侍女の物語』をドラマ化して人気を博しているという。トランプ政権になって『1984年』…

『彼方なる歌に耳を澄ませよ』アリステア・マクラウド

山々はわれらをわかち、茫漠たる海はわれらを隔てる――それでもなお血は強し、心はハイランド。 ――アリステア・マクラウド『彼方なる歌に耳を澄ませよ』 血は水よりも濃い スコットランド人に会ったら、まず言われること。イングランドとスコットランドを絶対…

『灰色の輝ける贈り物』アリステア・マクラウド

「わかってるよ、母さん」とお父さんが言う。「よくわかっているし、みんなには感謝しているよ。ただ、とにかく、同じ一族という仕組みのなかでは、もう生きられなくなっているんだよ。自分とか自分の家族とかを超えて、ものを見なきゃ。今は二十世紀なんだ…

『冬の犬』アリステア・マクラウド

私たちは、将来のいつかまたその時が来るまで生き長らえることになった。 犬はもはや、将来のいつかそのときのために命を救われることはなかった。(「冬の犬」より) 流氷のような 昔よりも、寒い季節が好きになった。おそらく冬好きの人間がそばにいたせい…

『イラクサ』アリス・マンロー

[日常の分岐点] Arice Manro Hateship,Friendship,Courtship,Loveship,Marriage , 2001. イラクサ (新潮クレスト・ブックス)作者: アリス・マンロー,小竹由美子出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2006/03/29メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 32回この商品…