ボヘミアの海岸線

海外文学を読んで感想を書く

2010-01-01から1年間の記事一覧

海外文学アワード2010

なんだかんだで今年もやることにした海外文学アワード。今年は、7年ぶりぐらいに一度も海外に行かない年だった。代わりに、国内をやたらぐるぐる回っていた気がする。あとは、いろいろな人に会えたことが収穫だった。仕事柄いろいろな人に会うことが多いが、…

水声社の中の人が選ぶ「おすすめ海外文学リスト」

12月26日開催の「読んでいいとも! ガイブンの輪 歳末特別編」で紹介された、出版社の中の人がおすすめする海外文学リスト。今回は、廃校になった小学校を倉庫代わりにしているという、水声社の“中の人”下平尾さんセレクト編。 群像社の中の人が選ぶ「おすす…

未知谷の中の人が選ぶ「おすすめ海外文学リスト」

「読んでいいとも! ガイブンの輪 歳末特別編」、出版社の中の人がおすすめする海外文学リスト。最後は「人がやらないことしかやらない」未知谷の“中の人”、飯島さんセレクト編。 群像社の中の人が選ぶ「おすすめ海外文学リスト」 水声社の中の人が選ぶ「お…

群像社の中の人が選ぶ「おすすめ海外文学リスト」

吉祥寺の古本屋「百年」で「読んでいいとも! ガイブンの輪 歳末特別編」があった。1人出版社の群像社、アンデスの風でお世話になっている水声社、他の人がやらないことしかやらない未知谷。小さな出版社3社が集まって「おすすめの海外文学」や小さい出版社…

『冬物語』ウィリアム・シェイクスピア

[その名を時という] William Sharekspeare The Winter's Tale,1611?冬物語 (白水Uブックス (35))作者: ウィリアム・シェイクスピア,小田島雄志出版社/メーカー: 白水社発売日: 1983/10/01メディア: 新書購入: 1人 クリック: 5回この商品を含むブログ (6件) …

『アイルランド・ストーリーズ』ウィリアム・トレヴァー

[ああ、アイルランド] William Trevor Irerand Stories.アイルランド・ストーリーズ作者: ウィリアム・トレヴァー,栩木伸明出版社/メーカー: 国書刊行会発売日: 2010/08/27メディア: 単行本購入: 4人 クリック: 42回この商品を含むブログ (21件) を見る その…

『オレンジだけが果物じゃない』ジャネット・ウィンターソン

[母は狂信者] Jeanette Winterson Oranges Are Not the Only Fruit,1985.オレンジだけが果物じゃない (文学の冒険シリーズ)作者: ジャネットウィンターソン,Jeanette Winterson,岸本佐知子出版社/メーカー: 国書刊行会発売日: 2002/07/01メディア: 単行本…

『ゴーレム』グスタフ・マイリンク

[さまよう路地裏] Gustav Meyrink Der Golem,1916.ゴーレム (白水Uブックス 190)作者: グスタフマイリンク,今村孝出版社/メーカー: 白水社発売日: 2014/03/12メディア: 新書この商品を含むブログ (11件) を見る 「ぼくらは単純に自分の自由意思で行動して…

『サラゴサ手稿』ヤン・ポトツキ

[異形だらけの千夜一夜] Jan Potocki Manuscrit trouve a Saragosse,1804?世界幻想文学大系〈第19巻〉サラゴサ手稿 (1980年)作者: 荒俣宏,紀田順一郎,J.ポトツキ出版社/メーカー: 国書刊行会発売日: 1980/09メディア: 単行本 クリック: 14回この商品を含む…

『わたしは英国王に給仕した』ボフミル・フラバル

[わたしは給仕した] Bohumil Hrabal Obsluhoval Jsem Anglickeho Krale,1971.わたしは英国王に給仕した (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 第3集)作者:ボフミル・フラバル発売日: 2010/10/09メディア: 単行本 わたしは二人を眺めていて、ふと思った。給仕…

『ハイファに戻って・太陽の男たち』ガッサン・カナファーニー

[砂と血にかき消えた祖国] Ghassan Kanafani a'id ila Hayfa 1970.Rijal Fi-sh-shams,1963.ハイファに戻って/太陽の男たち作者: ガッサーンカナファーニー,黒田寿郎,奴田原睦明出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2009/02/19メディア: 単行本購入: 1人…

『夜のみだらな鳥』ホセ・ドノソ|楽園という名の冥府

外に5日間いて、ぼくは生きることへの興味を失った。ある詩人が言っているよ。『生きる? 生きるだと? なんだ、それは? そんなことは召使にやらせておけ』って。ーーホセ・ドノソ『夜のみだらな鳥』 楽園という名の冥府 『夜のみだらな鳥』を読んでいる最…

『オラクル・ナイト』ポール・オースター

[啓示は手の中に] Paul Auster The Oracle Night,2003.オラクル・ナイト作者: ポールオースター,Paul Auster,柴田元幸出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2010/09メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 50回この商品を含むブログ (42件) を見る とにかくあのノ…

色で読む海外文学・モノクローム編

先日の「色で読む海外文学」リストの続編。Twitterでつぶやいたら、いろいろな方からいっぱい推薦をもらったのでまとめてみることにした。白黒つけてみる? モノクローム編。 White冬の犬 (新潮クレスト・ブックス)作者: アリステア・マクラウド,中野恵津子…

『暗夜』残雪|夜は明けない

「夜はもう明けるの?」ぼくは兄に聞いた。 「まだわからんのか。今は……今は……ああ、やめておこう」 (「暗夜」) 「夜が明けるなんてことを考えさえしなければ、この家と折り合えるさ。夜は明けっこないのだ」(「帰り道」) 夜は明けない 残雪は鮮烈なイメ…

『黒檀』リシャルト・カプシチンスキ

[無限の多様性] Ryszard Kapuscinski HEBAN,1998.黒檀 (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 第3集)作者:リシャルト・カプシチンスキ出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2010/08/11メディア: 単行本 一流の人類学者は、<アフリカ文化>や<アフリカ宗教>…

色で読む海外文学・カラーパレット編

うちの家の庭は、かつての持ち主だった庭師が作ったもので、四季折々の植物が植えられている。台所から見える葉っぱの色は、季節の節目を測るバロメータだ。少し黄土色を混ぜたようなくすんだ黄緑色になっているのを見ると、秋も深まってきたのだなあとしみ…

ノーベル文学賞とバルガス=リョサ、そして大事なものを噛み切られた男の話

ペルーの作家 マリオ・バルガス=リョサが、2010年ノーベル文学賞を受賞した。昨年のへルター・ミュラーがまさかの大穴だったので、今年はずいぶん順当に来たなあという感じ。 毎年、ノーベル文学賞授賞式の何が楽しいって、副賞としての「再版祭り」だったり…

『コスモス』ヴィルド・ゴンブロヴィッチ

[ベンベルグ] Witold Gombrowicz Kosmos,1965.コスモス―他 (東欧の文学)作者: ヴィトルド・ゴンブロヴィッチ,工藤幸雄出版社/メーカー: 恒文社発売日: 1990/03メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 28回この商品を含むブログ (10件) を見る 「わしにいわせ…

『木のぼり男爵』イタロ・カルヴィーノ

[ひとりぼっちの王国] Italo Calvino Il Barone Rampante,1957.木のぼり男爵 (白水Uブックス)作者: イタロカルヴィーノ,Italo Calvino,米川良夫出版社/メーカー: 白水社発売日: 1995/08メディア: 新書購入: 4人 クリック: 19回この商品を含むブログ (33件)…

『バラバ』ラーゲルクヴィスト

[信じない] Par Fabian Lagerkvist Barabbas,1950.バラバ (岩波文庫)作者: ラーゲルクヴィスト,P¨ar Lagerkvist,尾崎義出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1975/12/16メディア: 文庫購入: 3人 クリック: 29回この商品を含むブログ (4件) を見る ――なぜ、祈…

『赤い高粱』莫言

[赤が泣く] Mo Yan 紅高粱家族 Hong GaoLiang JiaZu,1987. 赤い高粱 (岩波現代文庫)作者: 莫言,井口晃出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2003/12/17メディア: 文庫購入: 3人 クリック: 54回この商品を含むブログ (22件) を見る 万物はすべて、人の血のにお…

『アントニーとクレオパトラ』ウィリアム・シェイクスピア

[折れ剣の英雄] William Sharekspeare Antony and Cleopatra,1606-07.アントニーとクレオパトラ (白水Uブックス (30))作者: ウィリアム・シェイクスピア,小田島雄志出版社/メーカー: 白水社発売日: 1983/10/01メディア: 新書 クリック: 2回この商品を含むブ…

『砂の都』マルセル・ブリヨン

[砂に埋もれた記憶] Marcel Brion La Ville de sable,1976.砂の都作者: マルセルブリヨン,Marcel Brion,村上光彦出版社/メーカー: 未知谷発売日: 2007/04/01メディア: 単行本 クリック: 16回この商品を含むブログ (4件) を見る わたし自身、母岩から砂を払…

『虫の生活』ヴィクトル・ペレーヴィン

[君らは虫だ] Виктор Олегович Пелевин Жизнь насекомых,1995.虫の生活 (群像社ライブラリー)作者: ヴィクトルペレーヴィン,吉原深和子出版社/メーカー: 群像社発売日: 1997/12メディア: 単行本 クリック: 26回この商品を含むブログ (12件) を見る 「すげ…

日本が読みたくなった

ふと、日本が読みたくなった。ひぐらしが鳴きはじめる盆の季節には、どうにも日本が読みたくなる(日本文学ではなく、あくまで日本が)。本棚をあさるのは面倒くさかったので、あちこちに散乱している本の山どもの中から寝ぼけまなこでセレクト。 東京日記 …

『夜間飛行』サン=テグジュペリ

[影の中の一つの星] Antoine-Jean-Baptiste-Marie-Roger de Saint-Exupery Vol de Nuit,1931.夜間飛行 (新潮文庫)作者: サン=テグジュペリ,堀口大學出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1956/02/22メディア: 文庫購入: 8人 クリック: 75回この商品を含むブログ (…

『ぼくには数字が風景に見える』ダニエル・タメット

[世界は数字] Daniel Tammet Born on a Blue Day,2006. ぼくには数字が風景に見える作者: ダニエル・タメット,古屋美登里出版社/メーカー: 講談社発売日: 2007/06/13メディア: 単行本購入: 22人 クリック: 223回この商品を含むブログ (157件) を見る 理系…

『君のためなら千回でも』カーレド・ホッセイニ

[走り去る君は] Khaled Hosseini The Kite Runner,2003.君のためなら千回でも(上巻) (ハヤカワepi文庫)作者: カーレド・ホッセイニ,佐藤耕士出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2007/12/19メディア: ペーパーバック購入: 8人 クリック: 653回この商品を含む…

『短篇コレクションI』池澤夏樹編

[世界という名のタペストリ] Natsuki Ikezawa edited Colleted Stories I,2010.短篇コレクションI (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 第3集)作者:コルタサル他発売日: 2010/07/12メディア: 単行本 世界中の文学から短編を集めたコレクション第1弾。本書は、…