ボヘミアの海岸線

海外文学を読んで感想を書く

2009-12-01から1ヶ月間の記事一覧

とある夜更けのご挨拶

午後三時を過ぎた頃、珈琲屋にて2009年最後のドリップを飲む。連れから、お土産にとドーナツとチョコレートをもらう。 川沿いを歩いていると、今年の晦日は月が丸いよ、という声がする。心の中だけで、それは結構なことですと返事を返す。 今年の夏に漬けた…

海外文学アワード2009

2009年をまったりとふりかえる。さてさて2009年、何があったかな。(1)大学院をどうにかこうにか卒業した (2)夢ではなく、本当に仕事があった(これが一番の奇跡) (3)活字にまみれた (4)中南米ぶらり旅(もう1回行きたい) 学生⇒社会人という、ジョ…

『青い野を歩く』クレア・キーガン

人生のある時点で、ふたりの人間が同じことを望むことはまずない。人として生きるなかで、ときにそれはなによりもつらい。 だれかに触れられたのは3年ぶりで、他人の手の優しさに、彼ははっとする。どうして、やさしさのほうが怪我よりも人を無力にするのだ…

『競売ナンバー49の叫び』トマス・ピンチョン

[陰謀か幻想か?] Thomas Pynchon The Crying of LOT 49,1966.競売ナンバー49の叫び (ちくま文庫)作者: トマス・ピンチョン,志村正雄出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2010/04/07メディア: 文庫購入: 7人 クリック: 63回この商品を含むブログ (46件) を見…

『オデュッセイア』ホメロス

[憎まれし英雄の流浪] Homelos Odysseia,B.C.8?ホメロス オデュッセイア〈上〉 (岩波文庫)作者: ホメロス,松平千秋出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1994/09/16メディア: 文庫購入: 11人 クリック: 68回この商品を含むブログ (72件) を見るホメロス オデュ…

『灰と土』アティーク・ラヒーミー

[頭蓋に焼きついた光景] Atiq Rahimi Khakestar-o khak,2000.灰と土作者: アティークラヒーミー,Atiq Rahimi,関口涼子出版社/メーカー: インスクリプト発売日: 2003/10/01メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 25回この商品を含むブログ (8件) を見る ときど…

アルバニア、血の報復、イスマイル・カダレの世界

ドキュメンタリー写真を発信するプロジェクト、「G-PHOTO」が更新を終了した。いつも楽しみにしていただけに惜しい。今まで素敵な写真をありがとう。 「G-PHOTO」は、「アルバニアのカヌン」についての調べものがきっかけで知った。イスマイル・カダレ『砕か…