アルゼンチン文学
作品のなかに幻想性だけを見ようとする人は、この世界の本質に対する無知をさらけだしている。世界はいつも幻想的だから。<BR>――ボルヘス『ボルヘスのイギリス文学講義』ボルヘスが愛する英文学周りを見ている限り、ボルヘスとの付き合い方は4つある。なに…
大きくカーブした線路が家の裏で直線に変わるそのあたりが、わたしたちの王国だった。——フリオ・コルタサル『遊戯の終わり』 異界への落下 夏になると南米文学に手がのびるのはここ数年来の習性で、モヒートを飲みながら南米の短編をつまむことを、夜な夜な…
<ちんこ>、君、ターザンになったな、一日一日、いい身体になって行くみたいだぜ、とぼくらはいったものだった。ーーバルガス・リョサ「子犬たち」 cinco autores ラテンアメリカ五人集 (ラテンアメリカの文学) (集英社文庫)作者: リョサ,パチェーコ,アスト…
「一輪の薔薇は、あっけなく燃え尽きるはずです」と弟子は挑むように言った。 「暖炉にまだ火が残っている」とパラケルススは応じた。 「この薔薇を火中に投ずれば、それは燃え尽きたと、灰こそ真実だと、おまえは信じるだろう。だが、よいか、薔薇は永遠の…
というのも、これは疑いもなく、世にも稀な光景だからである。白熱した銅の雨! 炎に包まれる街! ——レオポルド・ルゴーネス『塩の像』 黙示録の光 先日の飲み会で、「バベルの図書館」の話が出たので、「バベルの図書館」シリーズについて書こうと思う。「…
今からわたしは、科学者であることをやめて、科学のテーマの一つになる。今からはもはや苦痛を感じず、ブラームスの第四交響曲第一楽章の最初のモチーフに(永遠に)耳を澄ますことになるのだ。——アドルフォ ビオイ・カサレス『脱獄計画』 島という牢獄 共感…
Ernesto R. Sabato El Escritory Sus Fantasmas, 1963.作家とその亡霊たち作者: エルネストサバト,Ernesto Sabato,寺尾隆吉出版社/メーカー: 現代企画室発売日: 2009/03/01メディア: 単行本 クリック: 17回この商品を含むブログ (3件) を見る 辺境から バー…
[不死の先でまた] Jorge Luis Borges El Hacedor, 1960.創造者 (岩波文庫)作者: J.L.ボルヘス,Jorge Luis Borges,鼓直出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2009/06/16メディア: 文庫購入: 5人 クリック: 27回この商品を含むブログ (47件) を見る そのとおりか…
[世界に酔いしれ] Jorge Luis Borges El Aleph,1949.不死の人 (白水Uブックス―海外小説の誘惑)作者: ホルヘ・ルイスボルヘス,Jorge Luis Borges,土岐恒二出版社/メーカー: 白水社発売日: 1996/08/01メディア: 新書購入: 4人 クリック: 46回この商品を含むブ…
[言葉だけの官能] Manuel Puig El beso de la mujer arana 、1976.蜘蛛女のキス (集英社文庫)作者: マヌエル・プイグ,野谷文昭出版社/メーカー: 集英社発売日: 1988/10/20メディア: 文庫購入: 3人 クリック: 27回この商品を含むブログ (56件) を見る 「あ…
[あなたのそばに] Adolfo Bioy Casares La invencion de Morel , 1940.モレルの発明 (フィクションの楽しみ)作者: アドルフォビオイ=カサーレス,Adolfo Bioy Casares,清水徹,牛島信明出版社/メーカー: 水声社発売日: 2008/10メディア: 単行本購入: 6人 ク…
[無限、円環、迷宮] Jorge Luis Borges FICCIONES ,1944.伝奇集 (岩波文庫)作者: J.L.ボルヘス,鼓直出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1993/11/16メディア: 文庫購入: 32人 クリック: 158回この商品を含むブログ (164件) を見る わたしの読書歴の中で、ボル…
[都会の南米] Julio Cortázar Todos los fuegos el fuego, 1966. 悪魔の涎・追い求める男 他八篇―コルタサル短篇集 (岩波文庫)作者: コルタサル,木村栄一出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1992/07/16メディア: 文庫購入: 12人 クリック: 83回この商品を含む…