ボヘミアの海岸線

海外文学/世界文学/ガイブンの書評と感想ブログ。昔の名は「キリキリソテーにうってつけの日」

旅行記

『須賀敦子のヴェネツィア』大竹昭子|悲しみとなぐさめの島

ヴェネツィアは、なによりもまず私をなぐさめてくれる島だった。 ーー大竹昭子 『須賀敦子のヴェネツィア』 イルマ・ラクーザ『ラングザマー』、アンリ・ドレニエ『ヴェネチア風物誌』と続けてヴェネツィアにまつわる本を読んだので、さらにもう一歩、ヴェネ…

『ヴェネチア風物誌』アンリ・ドレニエ|妖術と魔術と幻覚の土地

まったく、ここは奇異なる美しさの漂う不思議な土地ではないか? その名を耳にしただけで、心には逸楽と憂愁の思いが湧き起こる。口にしたまえ、<ヴェネチア>と、そうすれば、月夜の静寂さのなかで砕け散るガラスのようなものと音を聞く思いがしよう……<ヴ…

『アイスランドへの旅』ウィリアム・モリス|19世紀のオタク、聖地巡礼の旅

アイスランドはすばらしい、美しい、そして荘厳なところで、私はそこで、じっさい、とても幸せだったのだ。 ――ウィリアム・モリス『アイスランドへの旅』 ヨーロッパに住んでいた頃、時間を見つけてはヨーロッパの国々を周遊していた。どこの国がよかったか…

『移動祝祭日』ヘミングウェイ|どこまでもついてくる祝祭

「もし、きみが、幸運にも、青年時代にパリに住んだとすれば、きみが残りの人生をどこで過ごそうとも、それはきみについてまわる。なぜなら、パリは移動祝祭日だからだ」 ーーアーネスト・ヘミングウェイ『移動祝祭日』 どこまでもついてくる祝祭 世の中には…

『土星の環 イギリス行脚』W.G.ゼーバルト

私たちの編みだした機械は、私たちの身体に似て、そして私たちの憧憬に似て、ゆっくりと火照りの冷めていく心臓を持っている。——W.G.ゼーバルト『土星の環 イギリス行脚』 崩落する記憶 「イギリス行脚」といいながら、実のところ彼はどこを旅していたのだろ…

『ヴェネツィア 水の迷宮の夢』ヨシフ・ブロツキ―

総じて、愛というのは光速で現れ、そして別離は常に音速でやってくる。 ——ヨシフ・ブロツキ―『ヴェネツィア 水の迷宮の夢』 追憶の水路 迷子になりたい、行方不明になってしまいたいという思いがいつからめばえたのか、もう今となっては思い出せない。自分を…

『アラン島』J.M.シング

石積みのてっぺんから見渡すとほとんどすべての方角に海原が見え、北と南には海の彼方に連なる山並みが見える。見下ろせば東の方に集落があり、家々のまわりで立ち働いている赤い人影が見える。ときどき、会話や島の古い歌のきれはしが風に吹きあげられて、…

『黒檀』リシャルト・カプシチンスキ

[無限の多様性] Ryszard Kapuscinski HEBAN,1998.黒檀 (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 第3集)作者:リシャルト・カプシチンスキ出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2010/08/11メディア: 単行本 一流の人類学者は、<アフリカ文化>や<アフリカ宗教>…

『コンゴ・ジャーニー』レドモンド・オハンロン

[なんだこれは] Redmond O'Hanlon Congo Journey,1996.コンゴ・ジャーニー〈上〉作者: レドモンドオハンロン,Redmond O'Hanlon,土屋政雄出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2008/04/01メディア: 単行本購入: 6人 クリック: 56回この商品を含むブログ (23件) を…