キリキリソテーにうってつけの日

海外文学/世界文学の感想ブログ。

『地下鉄のザジ』レーモン・クノー

[簡易遊園地のような]
Raymond Queneau ZAZIE DANS LE METRO , 1959.

地下鉄のザジ (中公文庫)

地下鉄のザジ (中公文庫)


 フランスのシュルレアリスム作家代表、レーモン・クノーの作品。文体実験集団、「ウリポ」の代表格として、文体でどこまで遊べるかを追究した、おもしろい作家。いろいろな実験小説を書いているが、本作はかなりぶっちゃけた口語を使ったことが実験だったらしい(翻訳ではいまいちわかりにくいが)。


 あらすじ。地下鉄に乗りたい少女ザジが、パリにやってくる。だけどあいにく地下鉄はスト。ザジは文句をたれ続けながら、パリの街を珍妙な登場人物とともにかけぬけることになる。

 少女ザジはめちゃくちゃ口が悪く、決めセリフは「けつくらえ!」。チャーミングというより、ふてぶてしい。訳のレトロさもあいまって、奇妙に笑える。鸚鵡は「しゃべれしゃべれ、それだけ取り得さ」と、意味がありそうでなさそうな哲学者みたいなことを話す。

 私はこの作家のちゃめっ気が大好きだ。教訓めいたことを言ったりする気が毛頭ないところもいい。

 登場人物も、世界そのものにしても、繰り返されたり脈絡がなくなったりで、ちっとも落ち着かない。 町のはずれに現れた簡易遊園地みたいな、不思議なテンションの高さが、読んでいてとても楽しかった本。


おまけ:

地下鉄のザジ [DVD]

地下鉄のザジ [DVD]

 この作品は映画も大好きだ。全体的に、映画の方がおしゃれな感じ。

 おかっぱ少女ザジが、しゃべり続けながら、おじさんにムール貝の殻を投げつけ続けるシーンは、今まで見てきた映画のシーンの中でも、トップ10に入る印象の強さ。


recommend:
レーモン・クノー『文体演習』 (ザジとはまた違う実験小説。非常にゆかい)
ジョルジュ・ペレック『人生使用法』 (ウリポメンバー)