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キリキリソテーにうってつけの日

海外文学/世界文学の感想ブログ。

『迷い鳥』ロビンドロナト・タゴール

アジア文学 ☆☆☆

[静寂の言葉]
Rabindranath Tagore রবীন্দ্রনাথ ঠাকুর Stray Birds,1916.

迷い鳥

迷い鳥


 アジア圏で、詩人は非常に尊敬される。少ない言葉で多くのことを語るから。
 20世紀インドに生まれた「詩聖」による詩集。「詩は原文で読め」といわれるが、本書においては原文も同時に楽しめる。タゴールは、母国語のベンガル語で書いた詩をもとに、英語で詩を書きなおした。彼が使う英語はとてもシンプルで美しい。

夏の迷い鳥が、わたしの窓にきて、うたをうたい、飛び立つ。
そして、秋の黄ばんだ木の葉が、うたうでもなく、吐息まじりに舞い散る。
STRAY birds of summer come to my window to sing and fly away.
And yellow leaves of autumn,which have no songs,flutter and fall there with a sigh.

 タゴールは、大正5年に来日した時に上記の詩を読んだ。東京湾と房総半島が見える場所で読んだという。日本でこういう歌ができるのかと、当時の日本と詩人の目線に驚く。

「あなたのことばはどんなことばですか、海よ。」
「永遠の問いということば。」
「あなたの答えはどんなことばですか、空よ。」
「永遠の沈黙ということば。」

"WHAT language is thine,O,sea?"
"The language of eternal question."
"What language is thy answer,O sky?"
"The language of eternal silence."

神の右手はやさしい。でも、神の左手がおそろしい。
GOD's right hand is gentle,but terrible is his left hand.

 タゴールの言葉は時に箴言のようである。言葉を追っていると、沈黙という名のひげをたくわえた詩人の顔がちらつく(肖像を見ていただければ、なんとなく納得していただけることと思う)。
 「鳥」関係のタイトルに弱いため手に取った詩集だが、思いのほかよかった。静寂の哲学者が語る言葉は、今日のようにひどく冷える冬の夜に、なんとなく向いているかもしれない。

鳥のうたは、大地に反射した朝の光のこだま。
THE bird-song is the echo of the morning light back from the earth.


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