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キリキリソテーにうってつけの日

海外文学/世界文学の感想ブログ。

2008アワード

フラグメント 気ままな本リスト 海外文学アワード

 2008年をさらりとふりかえる。今年は本当に本と活字にまみれたなあ。たぶんおやつ食べた回数と同じくらいじゃないだろうか。

 というわけで、勝手にアワード。とりあえずはオーソドックスに、海外文学から。基本的に今年読んだもので、かつ感想を書いてあるものをピックアップ。↓

○海外文学部門
順不同。

サミュエル・ベケット『ゴドーを待ちながら』(フランス)
ぐだぐだな雰囲気が最高に笑える。いいナンセンスぶり。

ヒルデスハイマー『詐欺師の楽園』(ドイツ)
これはいいエンターテイメント。すべてはでっちあげ。

スタニスワフ・レム『ソラリスの陽のもとに』(ポーランド)
分かり合えないこの距離感。人間の限界が、皮肉を交えずに描かれる。けっこう目からうろこが出る話。

チェスタトン『木曜日だった男 一つの悪夢』(イギリス)
哲学アナーキー。はじめはわけ分からないけど、あとからいい味わい。人は神に勝てない。だからこそ戦おうとするのが人間である。

ボフミル・フラバル『あまりにも騒がしい孤独』(チェコ)
不条理を笑い飛ばす。本にまみれて35年間仕事をした男の孤独な一生涯。

ビオイ・カサーレス『モレルの発明』(アルゼンチン)
ボルヘスとしかけ的には似ているんだけれど、この叙情性がいい。

アレホ・カルペンティエル『この世の王国』(キューバ)
南米文学のエッセンスがつまっている。ハイチの独裁者と脅威的な現実。

オマル・ハイヤーム『ルバイヤート』
死んだら土にかえるだけだよと、イスラーム圏で言っちゃったすごい人。ハイテンションな訳は非常にくせになる。


次点:
アルベール・カミュ『カリギュラ』(フランス)
フランスが二つあるのはなあと思ったので次点。淵まで追い詰めてこようとする迫力。

ソポクレス『オイディプス』(ギリシャ)
運命から逃れられないことこそ悲劇。


全体的に、神話系の怒涛の物語が多かったように思う。あとは「ソラリス」「モレルの発明」みたく、人が分かり合えない話とか。南米文学、東欧文学は来年も引き続き読んでいきたいところ。

ブログを書き始めて最初の年越しです、そういえば。一人で読んでいた時より読書の幅が広がったので、書き始めてよかったなあと思います。おもしろいのあれば、こっそりいっぱい教えてください。


海外文学以外の勝手にアワードは↓↓

○海外文学以外
というまとめ方もどうかと思うけど、いちおう海外文学ブログだからまあいっかという適当な逡巡がありました。


筒井康隆文学部唯野教授(日本)
再読だけれど、ランクイン。学部生の時はあまりよく分からなかったのだが、院生になった今読むと本当に笑える。ああー分かるわかる!的な。

梨木果歩『村田エフェンディ滞土録』(日本)
トルコ行った時の写真を見返しながら読んだので、鮮烈な記憶とともに残っている。イスタンブールはかっこういい都市だ。ボルポラス海峡また見たいなあ。

谷川俊太郎『二十億光年の孤独』(日本)
なぜか英訳つきだった詩集。比較してわかる日本語の良さ。

五十嵐大介海獣の子供(漫画)
『魔女』もすごかったけど、こちらもなかなか。ていうか、この作者、人間あまり好きじゃないぽく見える。

・鶴田健二『思い出エマノン(漫画)
初恋のときめきとSFの見事な調和。エマノンかわいい。

・村田球『ドロヘドロ(漫画)
世界観がいい。スラムっぽくて殺伐としているわりには、のほほんなのが不思議。

平野耕太ヘルシング(漫画)
完結おめでとう。この人の戯曲めいた言い回しが大好きでした。最終巻早く出ないかなあ。

・山形孝夫『砂漠の修道院』(エッセイ)
エジプトのコプト教徒についてのエッセイ。乾いた空気がひしひしと。

・河口恵海『チベット旅行記』(エッセイ)
19世紀にチベットに行ったお坊さんの冒険譚。外国人禁制のチベットに入るために、中国人のふりをしてしかも長年ばれなかったという恵海さんの根性がすごすぎる。

・ゲオルグ・クニール『ルーマン社会システム理論』(社会)
ルーマンのめんどうくさい理論をここまでまとめてくれた仕事に拍手。つっこみどころはあるけれど、学問的にはハーバーマスなんかよりずっとおもしろい。

・ネルソン・グッドマン『世界制作の方法』(思想)
現代思想。これもおもしろかった。世界はヴァージョンによって作られる。物語好き、ストーリーテラー好きにはよく分かる思想では。

・ヒルティ『眠られぬ夜のために』(思想)
祖父に敬意を評して。


日本の現代作家もそれなりに読んだはずなんだけど、いまいち記憶に残らず。…今年は思想、海外と関わりのあるエッセイが多かった。来年は歴史、美術系あたりを周遊してみようか。その前に本棚増設だー