『停電の夜に』ジュンパ・ラヒリ
[人の心の距離の近さ、遠さ]
Jhumpa Lahiri INTERPRETPR OF MALADIES , 1999.
- 作者: ジュンパラヒリ,Jhumpa Lahiri,小川高義
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2000/08/01
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英語圏で暮らすインド人が主人公たちの物語、9編による短編集。 文化の、言葉の、心の「ズレ」の物語。
人と人との距離は、どんな物差しでも均等には測れない。 どんなに近くにいても心が交わらない場合もあれば、大した共通点があるわけでもないのに、ふと理解しあえる場合もある。
ズレが起きたそのわけと悲しみが、どの作品もとても丁寧に描かれている。 中途半端にやさしく終わらないのが、現代的か。 なんとなく、インドで売っている、象牙細工を思い出した。
おすすめは「停電の夜に」(光がないからこそ浮き上がる心)、「セクシー」(ロマンティックなシーンがあるぶん、その後がまたなんとも)、「ビルザダさんが食事に来たころ」(哀愁漂うおじさんがいい)。
マジョリティの白人作家では書けないものが、彼女の作品にはある。もちろん、インド系の中では彼女はエリートでアメリカに移民してきているから、インド人からすればやはりよそ者なのかもしれないが。おそらくどちらの国でも「よそ者」である彼女だからこそ、書けた作品なのだろう。
reccomend:
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