キリキリソテーにうってつけの日

海外文学/世界文学の感想ブログ。

W.G.ゼーバルト『アウステルリッツ』

 三十六度というのは、自然界でいちばん適切な温度だということがわかっているのだよ、アルフォンスはそう言いました。神秘的な閾値といってもいい。私はこんなことを思ったことがあるんだ、ひょっとしたら人類の不幸は、いつのころだか体温がこの基準からずれてしまって、しじゅう少し熱っぽい状態にあることと関係があるのではないだろうか?

「幽閉された動物たちと私たち人間の観客が、おたがいに見つめ合っているのね、理解のかなわぬ溝に、へだてられたままに」

 

 

ーーW.G.ゼーバルト、鈴木仁子訳『アウステルリッツ』白水社、2003.