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キリキリソテーにうってつけの日

海外文学/世界文学の感想ブログ。

『河岸忘日抄』堀江敏幸

遭難の作法 ふと、彼は思う。自分は、まだ待機していたい。待っていたい。だが、なにを待つのか?——堀江敏幸『河岸忘日抄』 霧の深い夜には、たいそう派手な失恋をして、なんの知らせもよこさずに遠い異国へふつりと消えた、気狂いの友人を思い出す。失踪し…

『酢豚つくりもりもり食ったブス』螺法洞

二人で一枚の切符を車掌に見せ、一人は降ろされても仕方ないがもう一人は乗りつづける権利があるはずだと言い切ってみせる、あの茶目っ気。かと思うと、同じ論理を巧みに利用して、一方が逮捕された時、自分も投獄されたら訴訟を起こすともう一方が脅したあ…

『さりながら』フィリップ・フォレスト

一茶はすでに世界についてすべてを知っていた。その悪意、その無尽蔵の美しさ。——フィリップ・フォレスト 喪失の水盤 この切実さはなにごとだろう。フォレストの文章を読みすすめるごと、そう思わずにはいられない。 日本の作家、俳句、写真家、都市について…

日本が読みたくなった

ふと、日本が読みたくなった。ひぐらしが鳴きはじめる盆の季節には、どうにも日本が読みたくなる(日本文学ではなく、あくまで日本が)。本棚をあさるのは面倒くさかったので、あちこちに散乱している本の山どもの中から寝ぼけまなこでセレクト。 東京日記 …

『井伏鱒二全詩集』井伏鱒二

[サヨナラダケガ] 井伏鱒二全詩集 (岩波文庫)作者: 井伏鱒二出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2004/07/16メディア: 文庫購入: 13人 クリック: 97回この商品を含むブログ (38件) を見る 井伏鱒二の『厄除け詩集』は、学生にとって災厄である。井伏の言葉は、…

『海潮音』上田敏

[謡う日本語] 海潮音―上田敏訳詩集 (新潮文庫)作者: 上田敏出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1952/12/02メディア: 文庫購入: 7人 クリック: 90回この商品を含むブログ (26件) を見る 上田敏が1905年に出版した訳詩集。明治時代の訳者は、日本の詩歌を踏襲し…