『ロリータ』ウラジミール・ナボコフ|愛は五本足の怪物
「だめよ」と彼女はほほえみながら言った。「だめ」
「そうしたら何もかもが変わるんだが」とハンバート・ハンバートが言った。ーーウラジミール・ナボコフ『ロリータ』
愛は五本足の怪物
はじめて『ロリータ』を読んだのは10年前、海外文学を読みはじめてまもない頃だった。「文庫で値段が手頃&名作」というわかりやすさから手にとり、あの衝撃的な書き出し「ロリータ、我が命の光、我が腰の炎」の洗礼を受けた。
この書き出しは、われらが変態ハンバート・ハンバートの露悪めいた恍惚、純度の高い狂信を凝縮した名文で、10年たった今もほぼ変わらずに、口蓋を三歩も百歩も叩いてくる。ロ。リー。タ。
- 作者: ウラジーミルナボコフ,Vladimir Nabokov,若島正
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2006/10/30
- メディア: 文庫
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