ボヘミアの海岸線

海外文学を読んで感想を書く

2011-04-01から1ヶ月間の記事一覧

『イカロスの飛行』レーモン・クノー

イカロス ぼくの時代には、令嬢は青年に恋を打ち明けたりしなかったもんだが。 アデライード 近代小説にはそういうことも書いてありますわ。 イカロス ああ、ぼくは読者というより読まれる方なんで。——レーモン・クノー『イカロスの飛行』 空を目指した ウリ…

『ウェイクフィールド』ナサニエル・ホーソーン|宇宙の遭難者

こうしてウェイクフィールドは、生きている世界から姿を消し、死者の仲間にも入れてもらえぬ境遇となった。 常ならざる者の存在はいつだって、記録と記憶に強烈な爪痕を残していくものだ。例えば、メルヴィルが生み出した奇妙奇天烈な男『バートルビー』。そ…

『ユビュ王』アルフレッド・ジャリ

ユビュ親父 そうかも知れん。だがわしは政府を変えちまったし、今後はすべての税金を二倍にふやし、指定された者はとくに三倍の税金を支払うよう、官報で通告したのじゃ。かかる方法によって、わしは速やかに大金持ちとなり、かくしてありとあらゆる者を皆殺…

『顔のない軍隊』エベリオ・ロセーロ

「気をつけたほうがいいわ、先生。村が誰の支配下にあるのか、いまだに不明なんだから」 「誰の支配下だろうと、別に変わりゃしないさ」——エベリオ・ロセーロ『顔のない軍隊』 この世の煉獄 少々、ぶっそうな想像をしてみよう。例えば、つるつる顔ののっぺら…

『ジプシー歌集』フェデリコ・ガルシア・ロルカ

緑色わたしの好きな緑色。 ジプシーの月の下で 物みな娘を見つめているが、 娘にはそれらを見ることができない。 ――フェデリコ・ガルシア・ロルカ「夢遊病者のロマンセ」 緑の風よ ここ数日、強い風が桜の花びらをまきあげながら坂をかけおりるのを眺めてい…

4月馬鹿な海外文学

もう4月1日もまもなく終わりだけど、日付変更線を心の中でずらしていけば、4月馬鹿はもう少し続く。というわけで、エイプリルフールらしく嘘つき、ほら吹き、ペテンどもの海外文学を集めてみた。勧める阿呆に読む阿呆、1日だけしか4月馬鹿やっちゃいけないな…