ボヘミアの海岸線

海外文学を読んで感想を書く

【海外文学アドベントカレンダー2020】エントリを紹介するよ

海外文学アドベントカレンダー2020を開催した。


今年に読んだ海外文学、読んでみたかった海外文学、復刊してほしい海外文学、読めそうにない海外文学、海外文学を読もうとしたらなにも読まずに終わりそう、海外文学を読める気がしない、今年の海外文学ベスト、今年のガイブン仕事、告知など、「海外文学」のアトモスフィアをふんわり感じるURLならなんでもOKです。

こんな感じでゆるく告知したところ、25日分が埋まった。とてもありがたい。

長年の友人もいれば、はじめてやりとりをする人もいて、じつに多彩な顔触れになった。

25日分のエントリまとめを記録しておく。

 

 

12月1日:挫折した海外文学選手権

執筆者:ふくろう:@0wl_man

#挫折した海外文学選手権 。愛の結晶幼女パールちゃんの小妖精ぶりや、ゾシマ長老が腐って挫折した話を書いた。ハッシュタグにさまざまな挫折体験が集まったので、Togetterにまとめてある。みんな、自分が考える最高の挫折文学を共有しようぜ!

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12月2日:韓国の現代文学における百合描写の魅力と切実さ――チェ・ウニョンとハン・ガンを中心に

執筆者:バーニング:@burningsan

バーニングさんによる、「百合×韓国文学」の紹介。思い返してみれば、韓国文学は女性同士の関係性を描いたよい短編がいくつもあったことを思い出す。チェ・ウニョンは読んだことないので読みたい。

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12月3日:アンドレ・アレクシス『十五匹の犬』感想

アンドレ・アレクシス『十五匹の犬』 - 本が好き!

執筆者:林さかな:@rumblefish
 ンドレ・アレクシス『十五匹の犬』感想。「ギリシャ神話の神アポロンとヘルメスが動物が人間の知性をもったらどうなるかという話題でもりあがり、十五匹の犬に知性を与える。犬らは人間と同じくらい不幸になるのか幸福になるのか。」神々の賭けによって、人間と同じ知性を与えられた犬が詩を書くところが気になる。

 

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12月4日:言葉と祖国

執筆者:中猫:@nakaneko

中猫さんによる「言葉と祖国」。ふたつの言語で書かれたミラン・クンデラ『冗談』を読み、離れていく祖国の言葉を思う。複数言語の話者、複数の故郷を持つ人にとってわかる話なのでは。

 

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12月5日:ジョゼ・サラマーゴ『白の闇』感想

執筆者:酒井七海:@onakaitaichan
はじめての海外文学発起人の書店員による、サラマーゴ『白の闇』感想。今年、世界中で読まれたパンデミック文学ではなかろうか。

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12月6日:ALL REVIEWSの歩き方(ガイブン編)

執筆者:かごとも:@tomokg

ALL REVIEWS スタッフ かごともさんによる、書評サイト案内。ALL REVIEWSフランスはフランス文学者 鹿島茂さんの主宰で、海外文学書評が充実してる印象。

 

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12月7日:2021年、読みたい本・欲しい本

2021年、読みたい本・欲しい本|環|note

執筆者:環

「誰かがつくる本リスト」が楽しいこと、「なんだか見知らぬ人の本棚を覗いている気分になれる」のはわかる。

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12月8日:なんで海外文学を読んでるの?

執筆者:おおた:@uporeke

ガイブン読書会を主催する人型苔玉 おおたさん による「なんで海外文学を読んでるの?」と直球な問いと、プルーストのこと。「行ったことのないフランス、全く他人事のはずの貴族社会とわたしは地続きだと感じられるのです」

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12月9日:『心は孤独な狩人』を読んでみつめる2020年のこと

『心は孤独な狩人』を読んでみつめる2020年のこと|三宅香帆|note

執筆者:三宅香帆:@m3_myk

書評家 三宅香帆さん による、南部文学の古典カーソン・マッカラーズ『心は孤独な狩人』レビュー。小説の感想だけではなく、今年の社会、2020年の話にもなっている。

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12月10日:いかにして日本人の私がルーマニア文学を書くことになったのか?

いかにして日本人の私がルーマニア文学を書くことになったのか?|セクシービースト済東鉄腸|note

執筆者:済藤鉄腸 @GregariousGoGo 

ルーマニア語で文学を書くルーマニア語小説家による、日本人がルーマニア文壇でデビューするまでの話。熱量と流れがとにかく全部すごい。

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12月11日:シャネル・ベンツ『俺の目を撃った男は死んだ』感想

シャネル・ベンツ「おれの眼を撃った男は死んだ」 - いざ生きめやも

執筆者:或人:@1835_1116

海外文学と今年に再会(!)したという或人さんによる、シャネル・ベンツ『俺の目を撃った男は死んだ』感想。再会したくだりがよかった。あとシャネル・ベンツ、表紙と名前とタイトルがぜんぶ気になるのはわかる。

 

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12月12日:神は変化なり/ブレインチャイルドの呪縛――オクテイヴィア・E・バトラーの「播種者の寓話」

執筆者:倉田タカシ:@deadpop

作家・漫画家が、オクタヴィア・E・バトラーSFの魅力を語りまくる。「2021年はバトラーの当たり年」とのことで楽しみ。倉田さんがいつも激推ししている『キンドレッド』の復刊、本当にしてほしい……

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12月13日:ロベルト・ボラーニョの魅力

執筆者:南森町三郎:@munoudan

ボラーニョ読書会などを主催する南森町三郎さんが語る、ロベルト・ボラーニョの魅力。「ロベルト・ボラーニョの小説には、人をセンチメンタルにさせる魅力があります」『2666』読書会のことをいろいろ思い出した。

 

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12月14日:スタンダール赤と黒

執筆者:Andy:@andy_1221

パリっ子が語る、スタンダール赤と黒』の話。フランス革命の歴史、キリスト、「自尊心の権化」マチルドの話など、読み物としておもしろい。これからももっと書いてシルブプレ!

 

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12月15日:すごい早口で『サラムボー』の話をする男

mishiba-y.hatenablog.com

執筆者:ミシバーヴ・ユヨシベール:@Mishiba_Y

ギュスターヴに没頭して名前までフロベった男による、すごく早口のフローベール『サラムボー』激推し。読み終わった後、「読むわ!!」となってすぐに『サラムボー』を買った。

 

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12月16日:シネフィルへの憧れ

執筆者:柿内正午:@kakisiesta

プルーストを読む生活』作者が「ガイブンってなんだ」と考える話。「ガイブン好きはすぐ名乗りたがる」というところ、ガイブン集会以外では、私は名乗りも話題にもしないので、新鮮だった。

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12月17日:なんで海外文学を蒐集するの?

SF読みにして絶景本棚な蒐集家が語る「海外文学を蒐集する理由」。蔵書話はいつも桁違いなので、今回も楽しかった!

 

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12月18日:アラン『幸福論』感想

執筆者:南行

アランと同じ町に住んだことのある南行きさんによる、アラン『幸福論』の感想。長い小説を読めない気分の時、私もこういう断章形式の本を読んでいたことを思い出す。

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12月19日:圧倒的な〝わからなさ〟と向き合う

執筆者:友田とん:@tomodaton 

『パリ闊』の著者による、ベケット『モロイ』を読んで「わからなさ」と向き合う話。「難しい、読めない、わからないと叫んでいる時間が必要だった」

 

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12月20日:ボカロ好きに薦める海外文学、海外文学好きに薦めるボカロ曲

執筆者:kqck

ボカロとガイブン両方が好きな著者が語る、「ボカロ好きに薦める海外文学、海外文学好きに薦めるボカロ曲」。ピンチョンやライ麦畑をテーマにした曲があるなんてぜんぜん知らなかった。開眼!

 

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12月21日:2020年 読んだ本ジャンル別ベスト5冊

執筆者:ヨイヨル:@_yoiyoru

ブログ『良い夜を待っている』ヨイヨルさんによる「ジャンル別ベスト5冊」。「がんばれガンベッティ君!編」1位はいったいどんな本なのか……!!! みんな大好きゾシマ長老がとうとう単位になった! とても笑った。

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12月22日:ロヨラアームズの昼食

執筆者:''ノ:@tsutatsuta

『雨の日にはたまに』の''ノさん によるダイベックロヨラアームズの昼食」レビュー。『僕はマゼランと旅した』は私も好きだったので、読み返したくなった。

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12月23日:アントニオ・タブッキ「供述によるとペレイラは……」

執筆者:Tune Midori :@GLthursday

アントニオ・タブッキ「供述によるとペレイラは……」感想。タブッキは、なんどでも不思議と戻りたくなる作家だと思う。

 

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12月24日:小説と映画の間

執筆者:fumika tamai

ブログ『マルメロと石畳』著者による、小説と映画の感想。イェジー・コシンスキ『異端の鳥』(『The Painted Bird』)が小説、映画ともにいちばんよかったとのこと。映画はまだ見てないので、気になってる。

 

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12月25日:トマス・ピンチョン『ブリーディング・エッジ』未読読書会

執筆者:ふくろう:@0wl_man

まだ翻訳が刊行されてない小説の読書会告知を前のめりになって書いた。

 

やってみた感想

もはや文芸誌では?と思うぐらい、いろいろな人による、いろいろな記事が読めて、楽しかった。とくに、主催者も読者も、当日になるまで中身がわからないことが楽しい。

自分が主催の文芸誌だと、なんだかんだと企画の方向性はわかっているけど、アドベントカレンダーは「海外文学」しかないから、主催者としても、毎日がドキドキなのだ。12月になるまでは、「25日まで埋まるだろうか……私が10日ぐらい書く必要があるかな……」と思っていたけれど、まったくの杞憂だった。

またいつかやろうかな。