『サキ短篇集』サキ
[笑う楽しみ]
Saki A COLLECTION OF SHORT STORIES .

- 作者: サキ,中村能三
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1958/03/18
- メディア: 文庫
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O・ヘンリーかサキか。
こと欧米圏ではこのように称される、イギリスの「短篇の名手」による作品21編。日本では、O・ヘンリーは教科書に載ったり、漫画やドラマ中でネタとして使われるくらい有名なのに、比べてサキはさっぱりである。もったいない。
O・ヘンリーとサキはそれぞれ、土地の文化をよく反映していると思う。サキの作品には、いかにもイギリスらしい、シニカルなブラック・ユーモアが満ちている。「偶然の悲劇」をモチーフにした作品も多い。
「二十日鼠」:
英国紳士は見知らぬ女性の前で服を脱ぐとき、こういう心情なのだな。さすが英国紳士。
「肥った牡牛」:
ブリザードが吹きすさぶような、会話のシニカルさ。牛だけがのんびりしていて、状況を想像すると笑えてくる。
「七番目の若鶏」:
昔の作品やアガサ・クリスティなんかを見ていると、イギリスでは、ユーモアと汽車での会話が社会的にいかに重要視されるかがなんとなく分かる。この作品もしかり。
「開いた窓」:
姪っこがやたらすごい。「ねじの回転」を思い出した。
「宵闇」「ある殺人犯の告白」:
冗談のような偶然の話。あるような、ないような。
「十三人目」:
馬鹿な馬鹿ップルの話。最初から最後まで、つっこみどころ満載。
「七つのクリイム壺」:
なんでそんなにクリイム壺があるんだろう。状況はおかしいけれど、実際にこういう会話はありそう。
「盲点」:
ひっどい話だ笑。最後の台詞がいいオチ。
個人的には、O・ヘンリーよりサキのほうが好み。クラシックなブラック・ユーモアを楽しみたい人のために。
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