無関心は人を殺す|『予告された殺人の記録』ガルシア・マルケス
[無関心は人を殺す]
Gabriel José García Márquez Crónica de una muerte anunciada, 1981.
予告された殺人の記録・十二の遍歴の物語 (Obras de Garc〓a M〓rquez (1976-1992))
- 作者: ガブリエルガルシア=マルケス,Gabriel Garc´ia M´arquez,野谷文昭,旦敬介
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2008/01/01
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- 作者: G.ガルシア=マルケス,Gabriel Garc´ia M´arquez,野谷文昭
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別けても、彼が絶えず不当だと感じていたのは、 文学には禁じられている偶然が、人々の間でいくつも重なることによって、 あれほど十分に予告された殺人が、行われてしまったことだった。
ガルシア・マルケス自身が「自分の最高傑作」だと呼んだ、実在の事件をもとにした物語。「百年の孤独」も衝撃だったが、これはこれで、すさまじい。
「明日俺はあいつを殺す」と大勢の人の前で予告が行われる。さて、こんなシチュエーションなら、予測される結末はなんだろうか?
ふつうなら、その予告は阻止されるだろうと思われる。殺人予告者を説得し、予告された者に警告をする。あらゆる対策が考えられ、殺人は実現しない。そう、ふつうならこう考える。
時折、世の中には、舞台脚本なのではないかと思うような、偶然が積み重なって起きる悲劇がある。
「誰かがなんとかするだろう」「私には関係ない」「冗談だろう」・・・誰もが持っている小さな欺瞞、怠慢、無関心。人々の思惑と、冗談のような偶然が、モザイクとなってひとりの男を殺害する。 どれかひとつでも違っていたら、結末は変わっていただろうと思うが、一方で、結局は同じ結末になっていたのではないかと思わずにいられない。
人の心と社会は、ふしぎな謎に満ちている。まさに、事実は小説より奇なり。
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