ボヘミアの海岸線

海外文学/世界文学/ガイブンの書評と感想ブログ。昔の名は「キリキリソテーにうってつけの日」

評論・講義

『ピラネージの黒い脳髄』マルグリット・ユルスナール|世界、この開かれた牢獄

「デンマークは牢屋だ」とハムレットがいう。「しからば世界も牢屋ですな」と気の利かぬローゼンクランツが言い返し、黒衣の王子をこの一度だけやりこめる。ピラネージがこの種の概念、囚人たちの宇宙という明確なヴィジョンをもっていたと想定すべきだろう…

『ボルヘスのイギリス文学講義』ボルヘス |円環翁が愛する英文学

作品のなかに幻想性だけを見ようとする人は、この世界の本質に対する無知をさらけだしている。世界はいつも幻想的だから。<BR>――ボルヘス『ボルヘスのイギリス文学講義』ボルヘスが愛する英文学周りを見ている限り、ボルヘスとの付き合い方は4つある。なに…

『他人まかせの自伝――あとづけの詩学』アントニオ・タブッキ

運転手は親切に聞いてくれました。どちらへお連れしましょうか。ある物語から抜け出したいのです。わたしは混乱しつつ、つぶやきました。行き先はどこでもいい、物語から逃げ出す手助けをしていただければ。わたしが作りだした物語ですが、今はそこから抜け…

『ナボコフのドン・キホーテ講義』ウラジミール・ナボコフ

『ドン・キホーテ』はこれまで書かれた中で最高の小説だと呼ばれてきた。もちろん、これはナンセンスだ。事実は、世界中の最大傑作の一つでさえないのだ。——ウラジミール・ナボコフ『ナボコフのドン・キホーテ講義』 ナボコフの鉈 どこで読んだのだったか、…

『作家とその亡霊たち』エルネスト・サバト

Ernesto R. Sabato El Escritory Sus Fantasmas, 1963.作家とその亡霊たち作者: エルネストサバト,Ernesto Sabato,寺尾隆吉出版社/メーカー: 現代企画室発売日: 2009/03/01メディア: 単行本 クリック: 17回この商品を含むブログ (3件) を見る 辺境から バー…

『ブッキッシュな世界像』池澤夏樹

[世界文学と日本人]ブッキッシュな世界像 (白水Uブックス―エッセイの小径)作者: 池澤夏樹出版社/メーカー: 白水社発売日: 1999/08メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 3回この商品を含むブログ (2件) を見る 海外文学読みにとって、池澤夏樹はなじみの深い…