ボヘミアの海岸線

海外文学を読んで感想を書く

2011-02-01から1ヶ月間の記事一覧

『夜になるまえに』レイナルド・アレナス

「覚えておくんだよ、わたしたちは言葉によってしか救われないってこと。書くんだ」——レイナルド・アレナス『夜になるまえに』 絶叫する生 夜とは、灯りが消えてものが書けなくなる時間であり、一度行ったらもう永遠に戻れない深淵のことである。キューバの…

『塩の像』レオポルド・ルゴーネス

というのも、これは疑いもなく、世にも稀な光景だからである。白熱した銅の雨! 炎に包まれる街! ——レオポルド・ルゴーネス『塩の像』 黙示録の光 先日の飲み会で、「バベルの図書館」の話が出たので、「バベルの図書館」シリーズについて書こうと思う。「…

『ハルムスの世界』ダニイル・ハルムス

作家「私は作家だ」 読者「私の考えでは、あんたはくそったれだ」 (作家は何分間か立ちつくし、この新しい考えに衝撃を受けて、死人のようにパタンと倒れる。作家は運び出される) ——ダニイル・ハルムス『ハルムスの世界』 ねえ、あなた狂ってますよ しまっ…

『脱獄計画』アドルフォ ビオイ・カサレス

今からわたしは、科学者であることをやめて、科学のテーマの一つになる。今からはもはや苦痛を感じず、ブラームスの第四交響曲第一楽章の最初のモチーフに(永遠に)耳を澄ますことになるのだ。——アドルフォ ビオイ・カサレス『脱獄計画』 島という牢獄 共感…

『灯台へ』ヴァージニア・ウルフ

波音は、たいていは控えめに心を和らげるリズムを奏で、夫人が子どもたちとすわっていると、「守ってあげるよ、支えてあげるよ」と自然の歌う古い子守唄のようにも響くのだが、また別の時、たとえば夫人が何かの仕事からふとわれにかえった時などは、そんな…