ボヘミアの海岸線

海外文学を読んで感想を書く

4月馬鹿な海外文学

 もう4月1日もまもなく終わりだけど、日付変更線を心の中でずらしていけば、4月馬鹿はもう少し続く。というわけで、エイプリルフールらしく嘘つき、ほら吹き、ペテンどもの海外文学を集めてみた。勧める阿呆に読む阿呆、1日だけしか4月馬鹿やっちゃいけないなんて言われはないね。

ほらは吹くためにある

レ・コスミコミケ (ハヤカワepi文庫)

レ・コスミコミケ (ハヤカワepi文庫)

 月にはしごを掛けよう! ビッグバンの時は身動きが取れなかったり、1億光年彼方にいる何者かがプラカードに「見タゾ!」と書いていて無駄にあせったり、妙に庶民的なQfwfq老人が好きです。星空見ながら、ほら話で酩酊。
ガルガンチュア―ガルガンチュアとパンタグリュエル〈1〉 (ちくま文庫)

ガルガンチュア―ガルガンチュアとパンタグリュエル〈1〉 (ちくま文庫)

 中世フランスが生み出した、下ネタ全開の抱腹絶倒ホラ話。ど田舎の村で世界戦争が起きる不思議。あと、うんことかおしっことか言いすぎ。
鰐 ドストエフスキー ユーモア小説集 (講談社文芸文庫)

鰐 ドストエフスキー ユーモア小説集 (講談社文芸文庫)

 ワニの腹の中は去年買ったオーバーシューズのにおいがする。これを読んだ時の衝撃といったらなかった。ワニの腹の中はけっこう住み心地がいいらしい。でも、オーバーシューズは嫌だなあ。→感想
嘘つき男・舞台は夢 (岩波文庫)

嘘つき男・舞台は夢 (岩波文庫)

 女性を口説くためなら、どんな大ボラでも取り繕いでもなんのその。これほどまでに嘘が全方位展開だと、もはや感動すら覚える。

手腕冴えるペテン、詐欺

詐欺師の楽園 (1968年)

詐欺師の楽園 (1968年)

 レンブラントとも並び称される、アヤクス・マズュルカという国民的作家がいる。が、彼は実在したことがない。マズュルカ評伝も歴史も名声も、すべてがペテンづくし。最高。→感想
トーベ・ヤンソン・コレクション 2 誠実な詐欺師 (トーベ・ヤンソンコレクション)

トーベ・ヤンソン・コレクション 2 誠実な詐欺師 (トーベ・ヤンソンコレクション)

 お金の扱いに長けた苦労人の若い女性カトリと、お金に困ったことがない老女アンナとの同居生活。同じ詐欺師タイトルでも、こちらは緊張感をはらむ。
スティング [DVD]

スティング [DVD]

 これぞすばらしきペテン。鼻のわきをなでる動作が、小さい頃からとても好きだった。ちなみに上で紹介しているのはDVDだけど、小説もあるのでここで紹介してみた(でもやっぱり映画だよね)。

苦い嘘

可笑しい愛 (集英社文庫)

可笑しい愛 (集英社文庫)

 嘘にまつわる短編、「誰も笑おうとしない」がおすすめ。誰かが笑ってくれることを期待するけれど、世界は自分が思うとおりには動いてくれない。せちがらい。 →感想

贖罪

贖罪

 フィクションを紡ぐ作家のたまごが、ある恋人たちを静かに破滅させた。嘘によって罪は生まれ、嘘によって罪は贖われる。→感想

信頼できない語り手

第三の嘘 (ハヤカワepi文庫)

第三の嘘 (ハヤカワepi文庫)

 『悪童日記』3部作。『悪童日記』だけでも完成されているが、続編を読めばまた一気に見方が変わる、すさまじい作品。「そうです。作り話です。事実ではないけれど、事実であり得るような話です」→感想
白い城

白い城

 私と師のツンデレカップルぶりを楽しむのも一興だが、やはりここではこう問いたい。「彼らはどちらがどちらで、誰だったのか?」 →感想

嘘のようなまこと

トゥルー・ストーリーズ

トゥルー・ストーリーズ

 嘘のような本当の話。事実は時に、小説より奇なり。→感想
四月馬鹿

四月馬鹿

 名前のとおり。白水社さんが去年「重版決定しました! 大人気!」とツイートしていてほのぼのとなった。