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キリキリソテーにうってつけの日

海外文学/世界文学の感想ブログ。

「その国どこにあるんだっけ?」と一瞬思う海外文学

 

 その昔、外国で出会ったオーストラリア人に「日本ってどこ? 中国と陸続き?」と聞かれたことがあった。「極東の島国」と答えると、相手はあっけらかんと「へえ、そうなの。アジアの遠くにある、というイメージしかなかったわ。教えてくれてありがとう」と言った。
 人々の「脳内世界地図」は、大航海時代以前のそれよりもいびつな形をしている。多くの人は、自分になじみのない国の場所など覚えていない(もちろん、首都や名産物も知らない)。
 それは、海外文学にも言えることだろう。アメリカ、イギリス、ロシア、フランス、ドイツあたりはそれなりに有名でも、それ以外の国となると知名度が一気に下がる。だけど、おもしろい作品はいっぱいあるわけで。知らないがゆえに選択肢に入ってこない。これは実にもったいないことだと思う。
 というわけで、脳内地図補完計画。あまり有名じゃなさそう+これまで触れてこなかった国&作家の本をまとめてみる(積ん読整理ともいう)。「あまり有名じゃなさそう」という基準は、いつもどおり独断と偏見によっているのであしからず。


■東欧編

眩暈(めまい)

眩暈(めまい)


ブルガリア:眩暈などというかわいい言葉ではとうてい言い尽くせないほどの、圧倒的な狂気。


血の伯爵夫人 (1) (文学の冒険シリーズ)

血の伯爵夫人 (1) (文学の冒険シリーズ)


ルーマニア:ご存知、吸血鬼のモデルとなったといわれる伯爵夫人の物語。アイアン・メイデンを使って600人以上を殺したという伝説がある。


シオラン対談集 (叢書・ウニベルシタス)

シオラン対談集 (叢書・ウニベルシタス)


ルーマニアアフォリズム作家の対話。「私は反動家ではない、反動家以上ですよ」


私


東ドイツ:西に逃れる人間を探すスパイの話。報告書がむやみに文学的なところが素敵だ。


ハムレットマシーン シェイクスピア・ファクトリー (ハイナー・ミュラー・テクスト集)

ハムレットマシーン シェイクスピア・ファクトリー (ハイナー・ミュラー・テクスト集)


東ドイツ:前衛劇。ハムレットらしさを期待すると、頭をぶん殴られるので注意。


どこにもないところからの手紙 (Le livre de luciole (55))

どこにもないところからの手紙 (Le livre de luciole (55))


リトアニア:映像作家でもあり、詩人でもある著者による断片。「楽園はいまだ完全には失われていない」


マルテンス教授の旅立ち

マルテンス教授の旅立ち


エストニアエストニア独立を信じた外交官マルテンスの生涯。著者はシベリア流刑の経験がある。


■南米編

大統領閣下 (ラテンアメリカの文学 (2))

大統領閣下 (ラテンアメリカの文学 (2))


グアテマラカルペンティエルと並び称される作家による独裁者文学。マルケス『族長の秋』と一緒にどうぞ。


自由の王―ローペ・デ・アギーレ (ラテンアメリカの文学 (4))

自由の王―ローペ・デ・アギーレ (ラテンアメリカの文学 (4))


ベネズエラ:ペルー独立を企てたローペ・デ・アギーレの物語。「殺人者」として認識されていた男を「自由の王」として語りなおした。


ブダペスト

ブダペスト


ブラジル:他人のふりをして書いた自伝がベストセラーになってしまった。私は誰?


■アフリカ編

ボンバの哀れなキリスト (シリーズ 越境の文学 文学の越境)

ボンバの哀れなキリスト (シリーズ 越境の文学 文学の越境)


カメルーン:カメルーンの小さな村で宣教しまくる宣教師の話。植民地側の目線。


見えざる神々の島

見えざる神々の島


ナイジェリア:見えない一族出身の主人公。「見える」とは何か? チュツオーラとともに、ナイジェリア文学を代表する作家。


レザルド川

レザルド川


カリブ・マルチニック島:クレオール文学。奴隷としてつれてこられた黒人の心。アフリカの記憶を持たず、フランスからも遠い。ではどう生きればいいのか?


■中東編

北へ遷りゆく時/ゼーンの結婚     現代アラブ小説全集 (8)

北へ遷りゆく時/ゼーンの結婚 現代アラブ小説全集 (8)


スーダン:ロンドンで西欧女性を食いまくるアラブ人男性。どこにいっても「外国人」でしかない者のつらさ。なかなか重い話。


ハイファに戻って/太陽の男たち

ハイファに戻って/太陽の男たち


パレスチナ:爆殺されたパレスチナ活動家による文学。よもや復刊することになるとは思わず、けっこう驚いた記憶がある。


あやまちの夜

あやまちの夜


モロッコ:男を惑わせる女の物語。異国情緒に酔う。


■アジア編

インモラル・アンリアル―現代タイ文学 ウィン・リョウワーリン短編集

インモラル・アンリアル―現代タイ文学 ウィン・リョウワーリン短編集


タイ:実験的手法を使ったタイ現代文学。前衛文学でもあり、SFでもある。