ボヘミアの海岸線

海外文学を読んで感想を書く

旅はめぐり屋

Vietnam HUE, 2008.

 なんだかいまいち天気がぱっとしないので、夏らしい写真を載せてみる。ベトナム・フエにて。日本は水の国だと思っていたけれど、ベトナムの水っぷりには瞠目した。雨上がりのころには、いっせいに人々が自転車をこいで、悠々と川を渡っていく。



Vietnam HUE, 2008.


 毎年バックパックをかかえてふらふらするのが習わしだったが、今年は仕事があるのでいけそうにない。北欧の人間とかに話を聞くと、夏の間は2カ月まるっと休むのが普通らしいので、うらやましいことこのうえない。あーどこかにふらりとでかけて写真を撮りたい。グアテマラに行って、ティカルを眺めながらコーヒーを飲みたい。

 編集の仕事をしていると、会社に行くことにどれほどの意味があるのだろうと思う。パソコンが1台あればどこでも文章は書けるし、校正もできる。とはいえ、自分はいまの居場所が好きだから、出社すること自体は苦痛ではないのだが。どこかにはいるけれど所在が不明の「めぐり屋」として悠々と生きるすべはないものか。

 最近つくづく思う。人間には想像力が必要だ。「現実的」というのは、いわゆる「客観」と呼ばれる事象から類推することではなく、実際にものごとが動き出すレベルまで、頭の中で想像できることなのだと思う。「想像できないことは、現実にはならない」というのがわが家の家訓だ。少なくともわたしの人生の中では、想像(妄想でもいいが)なくして自分の世界は動かない。だからわたしはめぐり屋となって考える。ああ、どこかに行きたい。