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キリキリソテーにうってつけの日

海外文学/世界文学の感想ブログ。

『から騒ぎ』ウィリアム・シェイクスピア

William Sharekspeare Much Ado About Nothing,1600.

ベネディック:恋わずらいとはうまい形容だ。たしかにわずらわしい恋だものな、好きこのんで好きになったわけではないのだから。
ベアトリス:お心にそむいて、なのね。まあ、かわいそうなあなたのお心、あなたが私のためにお心にそむくのなら、私もあなたのためにあなたの心にそむきましょう、だってお友だちのあなたがきらいなものを私が好きになるわけにはいきませんもの。
ベネディック:あなたとおれは頭がよすぎて、やさしく恋を語ることなどできそうもないな。
ベアトリス:そうおっしゃるところを見ると、そうではなさそうね――頭がいいと自慢する人ほどほんとうに頭がいいのは、20人に1人いるかいないかですもの。


 めくるめく恋のから騒ぎ。なんて愉快な喜劇なんだろう! 
 主人公は2組の男女。ヒーローとクローディオは、恋に一途な正統派カップル。もう一方のベネディックとベアトリスは、お互いに出会えば悪口の応酬をしあい、恋愛に興味のない変わり者のカップル(未満)。
 ヒーローとクローディオのカップルは、誤解がもとで引き裂かれるが、ベアトリスとベネディックは、誤解がもとでくっついた。対照的な恋人たちの恋の会話が楽しい。特に、ダントツでベネディック&ベアトリスの2人が面白い。ツンデレまで網羅しているとは、シェイクスピア恐るべし。

 そもそも彼らは、顔を合わせば正面きっての悪口合戦で、お互いに「結婚なんて死んでもごめん」と嘯くひねくれ者だ。そんな2人のために、ヒーローやクローディオ、ゆかいな仲間たちが策略を立てる。「じつはあの人、君のことが好きらしいよ」と、それぞれの耳に入れるだけ。
 「誰かが自分のことが好き」、そんなことを聞かされて、気を悪くする人なんているわけがない。まさに、恋は偉大な勘違いである(恋は病であるということを、科学的に証明したイグノーベル賞学者もいるらしい)。

 恋にうんざりしているか、もしくは幻滅している時に読むと、きっと元気になる。みんな、もっと恋をしようよ。


シェイクスピア全集

 
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