キリキリソテーにうってつけの日

海外文学/世界文学の感想ブログ。

『人間の運命』ショーロホフ

[ロシアの風土]
Михаил Александрович Шолохов Судьба человека,1956-58.

人間の運命 (角川文庫)

人間の運命 (角川文庫)


 冬だ、ムーミン谷がうらやましい。たらふく食べてこのまま冬眠したいと、冷えこむ朝が来るたびにぐうたらと考える。だけど今年も残念ながら冬眠できる見込みはないので、どうせならもっと寒い国の文学を読んでみる。

 ソビエト文学者、『静かなるドン』を書いたノーベル賞作家による短編集。著者はソ連体制の中で、お偉方だったようで。旧ソの作品といえば、反体制作品やら、地下出版作品やらを読むことが多かったせいか、政府と良好な関係の作家の作品を読むのは、逆に新鮮だった。

 過酷なロシアの風土や、戦争での喪失の苦さはあるが、全体的にお行儀がいい。ベールイの『ペテルブルグ』なんてトンデモ系の作品の後に読んでしまったのも間が悪いと思うが、うーんなんか物足りない、という感じがしてしまう。強烈に印象に残った場面は、表題『人間の運命』での主人公のウォトカの飲みっぷり。さすが寝てもさめてもウォトカのロシア人らしい、由緒正しい(?)ウォトカの飲み方を学ぶことができる。

 野蛮さと慈悲深さを両立させる、凍れる大地のロシア。改めていろいろとすごい国だと実感する。とりあえずウォトカでも飲もうそうしよう。


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