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キリキリソテーにうってつけの日

海外文学/世界文学の感想ブログ。

写真展:米田知子「終わりは始まり」

米田知子 「終わりは始まり」
会場: 原美術館
スケジュール: 2008年09月12日 〜 2008年11月30日
住所: 〒140-0001 東京都品川区北品川4-7-25
電話: 03-3445-0651


 論文がちっとも進まないので、そしてあまりに天気が良かったので、もっけの幸いと写真展に行ってきた。ロンドンで活躍する写真家、米田知子「終わりは始まり」展。

 会場は原美術館、品川駅から15分ほど歩いた、閑静な住宅街にある。はじめて訪れたのだが、とても雰囲気がいいところだ。

 静かな写真を撮る人だと思う。一歩ひいたような距離感。写真で語れることは写真で、写真で語れないことは別の方法で語ろうとするというか。
シリーズ「Scene」でそう思った。このシリーズの風景写真は、一見どこにでもある日常の一枚なのだが、写真を眺めたあとに題名を見ると、昔の戦場のあとだったことが分かる。(たとえばサラエボ満州、ベイルートなど)。「無題」とは言わずに、題名ではっきりと場所の意味を示してくるところがいい。どこも一度も行ったことはないけれど、なつかしく、少し苦く、時の流れと歴史の変遷を思う写真だった。

 いくつかシリーズがあったのだけれど、その中で特に気に入ったのは、冒頭の写真にある「見えるものと見えないもののあいだ」シリーズ。眼鏡とテキストの写真なのだが、写っているテキストはフロイト、ジョイス、ヘッセ、ブレヒト谷崎潤一郎など、一流作家、学者らのものだ。文学読みとして心が躍る。一番長くいついた部屋だったかもしれない。個人的にいいなと思ったのは、「フロイトの眼鏡−ユングのテキストを見る?」(冒頭写真)と、「マーラーの眼鏡―交響曲第10番の楽譜を見る」「ジョイスの眼鏡―シルヴィア・ビーチへの手紙を見る」。マーラーの楽譜の達筆ぶり、あれはいい。

 ぶらりと写真にひたったあとは、そなえつけのカフェで、ホットチョコレートを飲んだ。ココアみたいなものだろうと思ったら、本当に湯せんして溶かした「熱い」チョコレートだったものだから、驚いた。甘いなあと思いながら、ぼんやりと外を眺めて文庫を読む。至福の時である。
 いい日だった。明日からまたがんばろう。ていうか、このブログ見てると、息抜きしかしてないように見えるな。


原美術館
SHUGOARTS:Tomoko YONEDA