キリキリソテーにうってつけの日

海外文学/世界文学の感想ブログ。

『ナギーブ・マフフーズ短編集』ナギーブ・マフフーズ

Naguib Mahfouz نجيب محفوظ ,Zaabalawi,Al-qahwa al-khaliya,Qabl al-rahil, Al-hawi kjatafa al-tabaq, Ahl al-qima,1962-1979.
[エジプトの生活]

ナギーブ・マフフーズ短編集―エジプト人文豪の作品より

ナギーブ・マフフーズ短編集―エジプト人文豪の作品より


 エジプトの国民的作家マフフーズの短編集。マフフーズは、アラビア語圏初のノーベル文学賞を受賞している。

 全体的に描かれているのは、エジプトの庶民的な生活。結婚、老後、幼年時代のおつかいなどなど。小説形式は、どことなく西欧っぽいクラシックな雰囲気だが、「アッラーのご加護がありますように」なんて言葉が、会話の随所に見えるあたりはやはりアラビア圏。


「ザアバラーウィー」:
 難病におかされた人が、賢者ザアバラーウィーをさがして、さまよう話。まあお約束のとおり、彼に会うことはままならない。

「空っぽのカフェ」:
 90歳の老人が、気づくと周りに知っている人、愛している人がいなくなっていた、と嘆く話。どんなにカフェに人がいたとしても、カフェは空っぽ。

「旅立ちの朝」:
 旅立つ前に、行きずりの女性とのひと時のロマンス。苦い後味。男のうぬぼれっぷりがなまなましくて痛い。

「手品師が皿をさらった」:
 豆を買いに行くんだけど、金と皿を失う話。子供時代に、庇護の下から突然世界に一人放り出される。なんとなく、芥川龍之介「トロッコ」を思い出した。この作品集の中では一番好き。

「頂上の人々」:
 結婚にまつわる、娘と父とすりの話。わりと明るい。エジプトでも、やはり持参金と仕事が問題になるらしい。


 マフフーズ作品では、最近翻訳された『渡り鳥と秋』も良いらしいので、読んでみたい。ピラミッドもスフィンクスもない、エジプトの生活を読む。


recommend:
アラブ、イスラム圏をモチーフにした本。
オルハン・パムク『雪』……トルコ。ノーベル賞。アラブではないけれど、イスラム世界。
ロレンス・ダレルアレクサンドリア四重奏』……西欧人が書くエジプト。風景描写が美しい。
山形孝夫『砂漠の修道院』……エジプトで発展したキリスト教、コプト教の教会のエッセイ。


others:
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