『海に住む少女』シュペルヴィエル
[霧のような寂しさに]
Jules Supervielle L'ENFANT DE LA HAUTE MER ,1931.
- 作者: シュペルヴィエル,永田千奈
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2006/10/12
- メディア: 文庫
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ウルグアイ生まれ、フランス育ちの作家・詩人による、「こちらの世界」と「あちらの世界」、ふたつの世界の境界を少しゆるめたような世界を描いた短編集。
シュペルヴィエルのことを、訳者は「フランスの宮沢賢治」と評しているようだ。賢治とシュペルヴィエル、どちらも幻想と静寂の世界観だが、賢治を鉱石のような静かさに例えるならば、シュペルヴィエルはどちらかというと、霧のようなあいまいな静かさがある。
表題「海に住む少女」の美しさは、とりあえず一読の価値がある。海に、浮かんでは消える町、そしてそこに住む少女の存在。最後にじんわりと余韻が残る秀作だ。
海、少女、死の向こう側、寂しさと孤独。シュペルヴィエルの描く世界は、静かな詩の色合いに満ちている。まるで水彩画のような、寂しい静寂の余韻にひたる。
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