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『エレンディラ』ガルシア・マルケス

[物語の渦まき]
Gabriel José García MárquezLa increíble y triste historia de la cándida Eréndira y de su abuela desalmada ,1978.

エレンディラ (ちくま文庫)

エレンディラ (ちくま文庫)


 いかにもマルケスらしい、「物語の語り」に満ちている短編集。または「大人のための残酷な童話」。

 本書では、天使を捕まえたり、海からバラのにおいが漂ってきたり、日本で生活する自分にはまるで考えもしないようなことが、まるで日常のように起きる。ラテンアメリカとはいったどんなところなのだ?いやがおうにも想像力は踊る。

 訳者があとがきに書いていたことだが、こういったことは、本当にラテンアメリカでは起こるらしい。だから西欧のように、小説を書くときに手練手管を使う必要はないのだという、地元の人の話を読んで、訳者と同じくらいびっくりしてしまった。魔術的リアリズムはじつは手法ではなく、日常のリアルであるらしい。

 マルケスの世界はつながっている。物語が別の物語とつながって、彼の作品はすべてひっくるめて、ひとつの大きな物語を構成する。「エレンディラ」のベッドのシーツをしぼるシーンなどは、そのまま「百年の孤独」にあった一場面でもある。

 甲乙つけがたいが、表題「エレンディラ」がやはり傑作。原題は、「無垢なエレンディラと無情な祖母の信じがたい悲惨な物語」。まあ本当にそういう話である。おばばの虐待ぶりもすごいし、エレンディラの可憐さもすごい。
 ラストはとにかく印象的、映像として心に焼きつく、屈指の名シーン。 「マルケス長いよ!」という人には、おすすめの一作。


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