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キリキリソテーにうってつけの日

海外文学/世界文学の感想ブログ。

『けものたち・死者の時』ピエール・ガスカール

[けものと人間]
Pierre Gascar LES BETES , LE TEMPS DES MORTS , 1953.

けものたち・死者の時 (岩波文庫)

けものたち・死者の時 (岩波文庫)

 フランスの作家による、短編集。人とけものの短編集「けものたち」と、収容所の墓堀りに関する半自伝小説「死者の時」を収録している。

 ここまで相性の合わない本をひさしぶりに読んだ。大江健三郎氏が影響を受けた、といわれるけれど、全体を包む「けものくささ」がダメだ。風邪ひいていた時に読んだから、よけい相性が悪かったのかもしれないが……。あとがきも1955年のままだし、もう少しどうにかならなかったのだろうか、岩波書店

短編集「けものたち」の3篇、「死者の時」を読んだので、ざっくりと感想。

「けものたち」:
 「人間」と「けもの」を対比させつつ、その関係性があいまいになる話が多い。戦争が大きなモチーフのひとつとしてあるから、人間の理性的でない部分、動物くさいところを出す、という感じか。「真朱な生活」は、伝統的な屠殺をする肉屋の話で、非常に血なまぐさい。「ガストン」は、その中では一番良かったかも。ねずみの話。

「死者の時」:
 ゴンクール賞受賞。こちらの作品の方が読みやすかった。戦争は死と死者ばかり。

 別にガスカールの文章が悪いわけではないが、人間の動物性を、動物との対比で見せるのは、今読むと古くさいように思う。ひさしぶりのはずれ、残念。