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キリキリソテーにうってつけの日

海外文学/世界文学の感想ブログ。

『編集室』ロジェ・グルニエ

フランス文学 ☆☆☆

[記者の話]
Roger Grenier LA SALLE FR REDACTION , 1977.

編集室 (白水uブックス―海外小説の誘惑)

編集室 (白水uブックス―海外小説の誘惑)

……一種メロディーに似た思い出を抱きつづけている。そう、つねにまた旅立つ勇気を与えてくれた、なにものかの思い出を。


 フランスの短編作家による、編集者の物語。

 ある記者が、夜の編集室で、一人でかたかたとタイピングする。かつて「夜の寓話」という題で出版されたこの本は、そんな光景を想像させる。

 ジャーナリストが小説家になるのはわりと多いが、ジャーナリストそのものを小説にしたものはあまりないのではないだろうか。もちろん、著者グルニエは記者経験がある。だけど、記者が記者時代のことを書く時、どちらかといえばルポタージュもしくは暴露話になりがちだ。

 本作は、「ジャーナリストの物語」という言葉が、まさにしっくりと当てはまる。彼らの人間くささが、にじみ出ているとでもいうか。ジャーナリズム精神やスクープを追い求める仕事熱ではなく、酒一杯の息抜きや、同僚と恋の駆け引きが、ここにはある。

 おすすめは「冬の旅」「親愛なる奥様……」「厄払い」「すこし色あせたブロンド女」。「記者」である人びとへの、丁寧な視線が好ましい作品。


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