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キリキリソテーにうってつけの日

海外文学/世界文学の感想ブログ。

『恐るべき子供たち』ジャン・コクトー

フランス文学 ☆☆☆☆

[子供部屋という王国]
Jean Cocteau LES ENFANTS TERRIBLES , 1929.

恐るべき子供たち (光文社古典新訳文庫)

恐るべき子供たち (光文社古典新訳文庫)


 パリの下町に住む子供たちの世界が、静かに崩壊していく物語。

 光文社新訳文庫は、発刊以来チェックしているが、特にこの「恐るべき子供たち」は、コクトー自身が書いた挿絵があるのが見所。雪合戦のシーンの美青年ダルジュロスや、エリザベートの肖像などは、なかなかに印象的。

 この物語は、シェイクスピアのような「劇場意識」が強い作品だと思った。 舞台は、子供だけの混沌の空間の「子供部屋」で形作られる。
子供部屋の住人でいられるのかそうでないのか?  けっきょく、最後まで「子供」でいられたのはポールとエリザベート姉弟だけで、彼女らもそして退場していく。

 この作品はコクトーが薬物中毒の最中に書かれたという。なるほど、世界が浮遊するようなこの感覚。子供のころは、逆に今よりも死が身近にあった気がする。

 世界は幻想的で、美しく、子供たちの王国は静かに消滅する。


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