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キリキリソテーにうってつけの日

海外文学/世界文学の感想ブログ。

『飛ぶ教室』ケストナー

[時空を越えて]
Erich Kästner DASFLIEGENDE KLASSENZIMMER , 1933.

飛ぶ教室 (光文社古典新訳文庫)

飛ぶ教室 (光文社古典新訳文庫)


 ドイツの著名な作家による、同じ寄宿舎に住む少年たちによる、友情と親愛の物語。「飛ぶ教室」とは、少年たちが演じる劇の題名だ。

 あとがきを読んで、この本が上梓されたのは1933年ということに驚いた。1933年、ドイツでナチスが政権をとった年である。 そう考えると、この本にこめられたメッセージについて、しみじみ考えさせられる。

「賢さのない勇気は野蛮であり、勇気のともなわない賢さは冗談でしかない」
「なにを悲しむかではなく、どれくらい悲しむかということだけが問題なのだ」
「大人はどうして忘れるのだろうか」

 何回も警察にとっ捕まりながらも国内にとどまり、こうした物語を書き続けたケストナーの境遇と心境を考えると、メッセージはきっと、現代に生きる私が思っている以上にずっと重いのだと思う。

 「飛ぶ教室」は、時空を越える。それはたぶん、21世紀を越えた私たちの世代にも届いてほしいという作者の思いなのかもしれない。


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