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キリキリソテーにうってつけの日

海外文学/世界文学の感想ブログ。

『壜の中の手記』ジェラルド・カーシュ

[語り騙る]

壜の中の手記 (角川文庫)

壜の中の手記 (角川文庫)


 まるでどこかの旅先で知り合った老人が、「ひまつぶしに話でもいかがかな?」と語りだすような、そんな不思議なイメージ。

 この本はすべてが、すでに書き手が「誰かから聞いた話」という形で語られる。 ああ、物語とは本来このようなものだったと思い出す。

 人から人へと語り継がれる物語。 そのたびに話は不思議さを増し、同時にそれが真実かどうかなんてどうでもよくなってくる。 むしろ奇妙な話をどれだけ魅力的に語るかで、その物語の価値は決まる。 その点、ジェラルド・カーシュの腕はお見事。

 表題「壜の中の手記」のほか、「豚の島の女王」「ねじくれた骨」「時計収集家の王」がおすすめ。 なぜか日本人がたくさん出てくるが、それもちょっとした見所のひとつ。

 読書後には、誰かに「こんな話を知っている?」と、語ってきかせたくなる。


reccomend:
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