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キリキリソテーにうってつけの日

海外文学/世界文学の感想ブログ。

『百年の孤独』ガルシア・マルケス

南米文学 ☆☆☆☆☆

[時は、歴史は、人はめぐる]
Gabriel José García Márquez Cien años de soledad , 1967.

百年の孤独

百年の孤独


百年の孤独 (Obra de Garc〓a M〓rquez (1967))

百年の孤独 (Obra de Garc〓a M〓rquez (1967))

 ラテンアメリカ文学を不動のものにした、まさに長編、まさに物語。この本は小説ではない。村のおばばが、夜な夜な語り継ぐ、摩訶不思議な「物語」のような、そんな雰囲気が満ちている。物語は架空の町マコンドに住むブエンディア一族の、百年の歴史を追っていく。


 さて、百年という歳月をかけて、人間は何を成しえるか?

 20世紀と21世紀を比べると、あまりにも多くのことが変化、進歩したように思える。 しかし、人間と、その心はどうだろうか。昔の小説を読んで人々が感動するように、歴史の中で同じ過ちが何度も繰り返されるように、不可逆的・直線的な文明とは違い、人と歴史はぐるぐると、ねじれながら回っている。

 ブエンディア家は、百年かけて孤独の円環から抜け出す。 アゲイン、そしてまたアゲインと、まるでゲームのリセットボタンのように、符号がかちりとそろうまで、時間の円環は回り続ける。

 これは誰もが言うことだが、冒頭にある系譜を読みながら本を読むことは勧めない。強く、勧めない。ほぼ同じ名前の人間ばかり混乱するが、人も時代もごちゃごちゃになって、忘却していく、その混乱がこの物語の「しかけ」でもある。この物語を読むならば、マコンドの時間ルールに従ったほうがおもしろい。

 読み終わった瞬間、空が落っこちてくるみたいな衝撃を受けた。まさか成人してからもこんな読書感をえられるとは思ってもみなかった。この強烈な印象は、たぶん一生ものになる。


 最初はそのボリュームに驚いたものだが、読んでいる最中は、スケールがあまりにも大きくて、目がくらんだ。 歴史は繰り返し、人は忘れていき、栄えるものは滅ぶ。 そんな時間の物語は、読んでいる最中よりもむしろ、読んだ後にじわりと重さを増していく。


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