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キリキリソテーにうってつけの日

海外文学/世界文学の感想ブログ。

『ムーン・パレス』ポール・オースター

アメリカ文学 ☆☆☆☆

[いわば青春の物語]
Paul Auster Moon Palace , 1989.

ムーン・パレス (新潮文庫)

ムーン・パレス (新潮文庫)


 自分の立つ「位置」はどこか。 自分にとっての「軸」はなにか。 そんなことを考えさせられる物語。

 この小説が「絶品の青春小説」と言われるのは、主人公の破天荒な行動や、荒唐無稽ともとれる「偶然」の積み重なりからきているものではなく、こうした「自分への問いかけ」があまりにもマジメに、どこか滑稽さも伴って、行われているからだと思う。

 いかにも青春、といった印象的なシーンが多い。極力お金を使わないで生活をしてみたり、叔父が残してくれた本の山を家具にしてみたり、タマゴひとつに一喜一憂してみたり(壊れた時のあの絶望ぷりと言ったら!)。彼女との出会い、別れ、奇妙な老人と自分の血筋、そして放浪。彼は何かを探していて、そしてそれは、おそらく自分も探し、もしくは探していたものである。


 この小説は、「月」に始まり、「月」に終る。

それは人類がはじめて月を歩いた夏だった。

 こんな書き出しから物語は始まる。 そして最後に、主人公は自分も他の人もたどり着いたことのない場所にたどり着く。

 砂漠、海、そういう開けた場所にいくと、今でもこのシーンを思い出す。 確かに、漠然と広い場所は、どこか「月面」に似ている。


reccomend:
スコット・フェツジェラルド『グレート・ギャツビー』 (失う青春もの) 
梶井基次郎『檸檬』 (本の上に檸檬を置く)