ボヘミアの海岸線

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『アメリカ大陸のナチ文学』ロベルト・ボラーニョ|継承されたナチズム


その教訓は明白だ。民主主義の息の根を止めなければならない。なぜナチはあれほど長生きなのか。たとえばヘスだが、自殺しなければ、百歳まで生きただろう。何が彼らをあれほど生きながらえさせるのか。何が彼らを不死に近い存在にしてしまうのか。流された血? 聖書の飛行? 跳躍した意識?

ーーロベルト・ボラーニョ『アメリカ大陸のナチ文学』

繼承されたナチズム

ギリシャのアテネに滞在中、厳戒態勢に遭遇したことがある。町の中央にあるシンタグマ広場に向かおうとしたが何度試しても鉄道が駅を通過してしまう。駅員に理由を尋ねても「Go home. Go home」と地球外生命体のように繰り返すばかりなのでTwitterで検索してみたところ、極右政党「黄金の夜明け」の信望者が対立者と衝突を起こし、爆発事件を起こし、広場が路上も地下鉄も完全封鎖されていることを知った。

「黄金の夜明け」はネオナチ政党とも呼ばれ、強烈なナショナリズムと排他主義を掲げ、経済状態が極めて厳しいギリシャで議席を伸ばしている。

21世紀になっても、ナチ思想は生き延びている。ギリシャでも、アメリカ大陸でも。


アメリカ大陸のナチ文学 (ボラーニョ・コレクション)

アメリカ大陸のナチ文学 (ボラーニョ・コレクション)

 

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